七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

悲しいけれど、ありがとう


ヒヨドリのたたみが亡くなってから、

私と太吉は、たたみを小さな箱に

ティッシュを敷いて寝かせ、

鳥かごの中に置いておきました。


翌朝、起きて1番にたたみの様子を見に来たのは

仁吉でした。


彼は、鳥かごをのぞいた途端、その場にうずくまり

30分以上泣き続けました。


その後、三吉が起きてきて、やはり異変に気づき、

たたみを見ては泣き、私を見ては抱きついて泣きました。


私は、「たたみは一生懸命生きようとがんばったんやと思うよ。


でも、体が弱りすぎてたんやろな。


それでも、仁吉に助けてもらって、みんなに世話してもらって

きっとお空でありがとうって言うてると思うで。」


そんなことを繰り返し話しました。


二人とも、泣きながら何度もうなづいて

なんとか登校していきました。


本当は、二人にたたみを埋葬させてやるつもりだったのですが、

彼らは、学校に行く直前まで泣き続けたので、

埋葬する時間がなかったのです。


しかし、亡くなってから時間が経ち、外気温が上がってきたこともあり、

たたみの体には、かなり虫がわいてきていました。


そこで、私は公園の裏手にたたみを埋葬して、

アイスクリームのスプーンに「たたみの墓」と書いて墓標にし、

家にあった花を供えました。


学校から帰ってきた3兄弟は、連れだってたたみの墓参りに

出かけていきました。


たった1日の間に出会って、別れたヒヨドリのたたみですが、

きっと彼らにとっては、楽しくて悲しい、忘れられない思い出になると思います。


それは、たたみがおもちゃやゲームのキャラクターではなく、

生きとしいけるものだったからです。


命は尽きれば、決して返ることのないもの。


それを彼らが体と心で感じることができ、

生きていることを、生きている物を、慈しむ心が育ってくれればと思います。


たたみには、悲しいけれど、ありがとうと伝えたいです。


仁吉と三吉は、今も毎日1度は、たたみのお墓参りに行っています。



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