BJおばさん・ななんの雑記

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新庄のお尻に注目するべき本当の理由



逆に本当に上手いと言われるセンターライン(ショート・セカンド・センター)の選手は、気をつけて見ていると必ず、一球毎に最初の守備位置を変えている。
後からどこへどんな打球が飛んで来たって絶対に追いついてみせる、と思えるくらい、俊足で守備範囲の広い選手はせいぜい赤星憲広くらいだと思うし、彼にしたって限界がないわけではない。最初に守っていた位置からあまりにも離れた所に飛んで来た場合に必ず追いつくことなど不可能だ。

おそらく大抵の選手は、とりあえず定位置に就いて、飛んで来た打球に対し、そこから全速力で追いかけ、追いつけなければ自分の責任ではない。投手の責任だ、と考えているのではないか。

しかし、わたしはこの姿勢に疑問を感じる。
特に、キャッチャーがミットを構える位置、そこから推測される投球のコース、打者の構えから察せられる狙い球、これらがよく見える位置にいるセンターラインを守る野手が、無自覚になんの工夫もせずに定位置を守って、平然とヒットを許してしまう姿は、見ていると苛立ちを覚える。

無論、どんなに準備をしても防ぎきれないヒットはたくさんある。
ここがこの場面でのベストポジションだと思って守っていても、投手の投げた球が逆ダマになったり、バッターに裏をかかれることもある。いつも思い通りにいくはずはない。
でもだからこそ、一球一球観察し、考え、守備位置を変えるということは重要だと思うのだ。

しかし、これを忠実にやろうとする選手は実は非常に少ない。
上手い野手というのはたくさんいる。だが、その更に上、別格になれるかどうかの違いはそこにあると思う。
位置を変えているようでも、なんとなく、といった感じだったり、ベンチからの指示だったり、どうも自覚的に行っているように見えない選手が結構多い。

意外だったのは、メジャー・リーグを見に行ったときも同じことを感じたのだ。
「オレは打てばいいさ、守りは下手でなければいいんだ」という考えなのかどうかわからないが、ポジショニングを工夫している選手はほとんど見かけなかった。

結局は“守り”に対するプロフェッショナルとしての自覚があるかどうか、ということなのかもしれない。
その点に関して言えば、新庄剛志や宮本慎也らを見ていると、他の選手との差は歴然としている。
宮本は「間を抜けそうな(ヒット性の)球をいかに簡単に捌いてみせて投手に安心感を与えるか」ということに常に心を砕き、新庄は自らはもちろん、両翼の野手に対しても、嫌がられることを憚らずに一球毎に守備位置を変えさせる。

捕球できる可能性が0%なのは文句なしのHRだけだ。
1%でも捕球できる可能性があるのなら、やれることはすべてやるべき。
更に言うなら、ただ捕球できればそれでいいというものでもない。
捕った後返球しやすいように捕球する。そのためにもいかにして無理のない楽な状態で捕球態勢に入るか、そういったことが重要になるのだ。

新庄が「僕のお尻を見に来てほしい」と冗談めかして語った言葉の中に、そういう工夫をしていることを見出して、野球の、守備の奥深さを見てほしい、という意味合いが隠されていることを、果たしてどれだけの人が気づいているだろうか。
野手の動きが見えないテレビでは彼の笑顔やスタイルの良さを追いかけてもいい。
でもせっかく球場へ足を運んだのなら、フラッシュをバシャバシャ浴びせるのはせめてイニングの合間だけにしてほしい。
プレイが再開されたら、彼のお尻にちゃんと注目しよう。
もちろん、その美しい形だけではなく、その動きに対して。
(2004年4月29日)

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