七夜式のやりたい放題なブログ

第十四話 犠牲




「おいシード、奴をそのまま帰してよかったのか?」


「何を言っているんだ錬。まだあの子に任務は早いと言ったのは君だ」


「・・・そうだったな。すまん。ただ、恐らく奴は『聖杯戦争』に出て、戦っている筈だ。セイバーが何よりの証拠だ」


「そうか。死なないと良いが・・・」


「なに。大丈夫さ、あの早乙女アルトなら」


1月25日(金)


―――入隊テスト終了後


「早乙女アルト。お前をS.M.Sの部隊員として正式採用する」


「・・・了解!!」


アルトはその日、時空管理局の部隊『S.M.S』の部隊証を貰った。


「お前の任務開始日は・・・そうだな、来月からだ」


「何でだよ。今からだって大丈夫だぞ」


「莫迦。お前はもうある意味『社員』なんだ。きちんと給料だって貰える。そうなると、2月からの方が効率が良いんだ。解るか?」


要するに、今日1月25日から今月の終り1月30日(ミッドでは毎月30日の10ヶ月制)までの給料分の水増しが面倒だ。と言いたいのだろう。


「・・・解ったよ。了解しました」


そうしてアルトは、渋々ながらも錬に家まで送って貰ったのだった。


             第十四話 犠牲


「見飽きたぞ、雑種」


全員が声の方向を向く。


そこに居たのは


黄金の鎧の騎士。


「アー、チャー」


セイバーが呟く。


「「「「なに?」」」」


その場に居た全員が驚いた。


「ほう。久しぶりだな、セイバー。 オレ の下に来る決心がついたか?」


「何を言っている。そんな事、あるわけない。それより何故貴方が此処に居る?前回の聖杯戦争のアーチャーのサーヴァント」


「「「「!!??」」」」


全員が驚いた。理由は二つ。


1.前回の聖杯戦争から現存は可能なのか(これは可能としか言い様が無い)


2.セイバーは前回の聖杯戦争にも出ていたのか(これも他に言い様が無い)


どちらも答えは出ているが、信じられない。そんな状況だ。


「そうだぞセイバー。 オレ はあの後聖杯の『泥』を飲んだ。そこから現界し続けているのだ。」


「――――――――――――――――――!!!!」


バーサーカーが叫ぶ。


「雑魚に用は無い。失せろ」


アーチャー(金)は指を鳴らした。後の空間から剣や槍の柄が出てくる。


王の財宝 ゲートオブ・バビロン


空間から飛び出した無数の剣と槍が、バーサーカーに突き刺さり、あっと言う間に全ての命を刈り取った。


近くに居たイリヤスフィールも一緒に一生を終えた。


アルトは感じた。


コロサレル


「アーチャー。ここでの足止め頼める?」


セシリアがアーチャーに尋ねた。


「ふっ。私を誰だと思っているんだ?」


「頼むわ」


「おいセシリア、それって―――」


セシリアは走り出した。


「おい!」


「誰かが犠牲にならなくちゃいけないのよ!!私たちが生きるためには!!」


「くっ・・・!!」


「行きましょうアルト。アーチャーが無駄死にしてしまいます」


「くそっ!!」


アルトも走り出した。


「早乙女アルト」


名前を呼ばれる。アーチャーが呼んだようだ。


「お前が本来使うべき魔術は、『強化』ではなく『投影』だ。常にイメージするのは、最強の自分だ。それを忘れるな。」


「・・・最強の・・・自分?・・・強化?」


「早く行け!!」


アルトは答えが解らぬまま走り出した。


―――数十分後


「つっ!!!」


セシリアが停まった。


腕をアルトに見せてくる。


令呪が、ない。


令呪とは、サーヴァントを律する絶対命令権であり、マスターである証。


令呪は、両腕のどちらかに3つの形に分けられ、形を成す。それは、3回までサーヴァントに『絶対守らなければならない』命令が出来る。


セシリアの腕には、それがもうない。


つまり。


アーチャーは、死んだ。


「逃げるわよ。このままだと、私達に勝機は無いし、アーチャーの死が無駄になる」


「・・・了解した。跳んだ方が速いだろ。俺がお前らを抱えて跳ぶ」


―――早乙女アルト邸


「ここまで来れば平気だろ」


「そうね」


「そういえばセシリア、アーチャーが俺に変な事言ってきた」


「は?どんなよ」


アルトはアーチャーとの別れ際に言われた事を話した。


「アルトには投影が合ってる?・・・まさか。ねえアルト。何か物を自分で具現化させるのと、何かを強化するの、どっちが楽?」


「・・・具現化させるの、だな。一応出来ない訳じゃない。強化より簡単だしな」


「そう・・・後で話し合いましょう。それより、問題はセイバー、貴女よ」


「はい。あのアーチャーについてですね。お話しますので、居間へ行きましょう」


 To Be Continued...

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