七夜式のやりたい放題なブログ

第十七話 聖杯

    第十七話 聖杯


―――早乙女アルト邸


突如アルト達の頭上に現れた巨大な孔、聖杯。


アルトたち3人はその孔を見つめていた。


「あれが、聖杯・・・なのか?あんな物が・・・」


「それについては私が答えるとしよう」


後から男の声がした。


3人が振り返った先に居たのは


「言峰、綺礼・・・・」


あの時の神父だった。


「私も聖杯戦争に参加していたんだが、思わぬ邪魔が入ってサーヴァントは散り、私も死にかけた訳だ。では説明しよう。『聖杯』とは何なのか」


そう言って、神父は淡々と語り始めた。


―――聖杯とは何なのか


願望機である大聖杯に繋がる孔にして炉心。大聖杯起動の鍵。


持ち主の願いをあらゆる解釈による破壊のみによって叶える。


また、ひとたび開けてしまえば際限なく溢れ出し、災厄を巻き起こす。


アルト達は愕然とした。


「持ち主の願いを破壊で叶え、厄災を引き起こす・・・」


そんな物を求める為に俺は戦っていたのか?


「・・・違う。俺は、そんな物を求めて戦った訳じゃない。」


アルトがエアを構える。


「セイバー、聖杯を破壊するぞ」


「・・ええ、構いません。私も、この様な物は望んでいませんでした」


セイバーも剣を構える。


「セシリア、言峰、離れてろ」


セシリアと綺礼が聖杯から距離を取る。


「――― 天地乖離す エヌマ 「――― 約束された エクス


エアが紅く、セイバーの剣が黄金に輝く。


「――― 開闢の星 エリシュ !!」 「――― 勝利の剣 カリバー !!」


それぞれの剣から放たれた光が、聖杯に届き、より一層輝く。


アルトの意識は、そこで途切れた―――


―――翌日、早乙女アルト邸


「・・・ん」


寝てたのか。アルトは寝室で目覚めた。


「時間は・・・13時だと?」


そこではっきり目が覚めた。アルトは約半日眠っていたのだ。


「・・・元の生活、か・・・」


そうだ。


聖杯戦争の終り。


それは、セイバーとの別れ


また独りでこの家で生活するのだ。


「・・・散歩でもするか」


アルトは立ち上がり、家の中の散策を始めた。


―――居間


「はあ、本当に誰も居ないな、分かってたが」


アルトは少し期待していた。


セイバーが居なくてもセシリアくらいなら居るだろう。


そう考えてしまった。


「・・・そういやセシリアとセイバー、俺が料理作れるの知って驚いてたな」


そう呟き、アルトは次の場所へ歩いた。


―――土蔵


「ここか。俺の聖杯戦争の始まりの地、って所か」


そう。セイバーとアルトが始めて逢った場所。


「・・・ランサーにも殺されかけたか」


そう苦笑して、次の場所へ向かった。


―――道場


「・・・ここはあいつが来るまで使わなかったんだよな」


この家にあった中規模の道場。


そこでアルトはセイバーに剣を鍛えてもらっていた。


理由は、『接近戦と遠距離戦が1人で両立できる』様にする為。


アルトは中へ入った。


「・・・あれ?」


見慣れた人間が居た。


金色の長髪を束ね、正座をしている少女。


「セイ、バー・・・」


「アルト、目が覚めたのですか?」


少女が目を開けアルトを見る。


「あ、ああ。でも何でセイバーがここに居るんだ?」


「聖杯戦争は終わりましたが、貴方からの魔力供給は続いています。なので、聖杯戦争が終わった今でもこうして現界する事が出来るのです」


「そういう事か」


アルトは勝手に納得していた。


「そういうことですので、これからも改めて宜しくお願いします」


「ああ、こちらこそ宜しく」


そう言ってお互いに握手を交わし、遅い朝食兼昼食を食べに居間へ行った。


 To Be Continued...

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