Laub🍃

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2010.07.22
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カテゴリ: .1次メモ
 肉はうまい。とりわけ肉親の肉は。

「この工場の肉は安全で、しかもエコなのですよ」
「今こいつらを養う余裕があるのか」
「ご安心ください。伝染病の疑いがあるものは直ちに焼却処分致しますが、それ以外は皆…」


 ちら、とこちらを見る気配。
 だが気にせず食い続ける。
 それだけが俺の生きている証だから。


「豚の餌になりますから」


 奴らは、自身を人、俺達を豚と呼ぶ。姿かたちはなんら変わりないが、人様には分かるらしい。

 俺はあんなのはごめんだ。

 もぐもぐ、幼馴染の肉を食いながら思う。
 ああ、うまい、他の奴らの肉を食べた時とは違う、温かみがある。

 いつか俺もこいつらの餌になるのだろう。

 だが、心配は要らない。幼馴染の声がさきほどから頭に響いているから。

 幼馴染は、食われて俺と一緒になった。
 結ばれることもないならばこれが一番幸せな、一生どころかもっと永遠に続く絆だ。

 だから俺は、いつか死ぬ時は、大事な妹に……







これが蟲毒のはじまりである。





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最終更新日  2015.09.30 21:16:47
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