Laub🍃

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2011.01.30
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カテゴリ: .1次メモ
「まぁたつまらない遊びしてるのねぇ」

「美佳ちゃんを待っている間くらいいいじゃないか」

「その名前で呼ばないでって言っているでしょう」

 来るのが遅い美佳ちゃんが悪いんだ。

「で、その遊びは終わったの?」
「んー、そろそろ。……あったぁ」

 数えながら、しゃがみこんだ大きな水たまりから小さなかけらと大きなかけらを同時に抜き出す。

「よーし、これであいつの上半身が完成するぞぉ」
「バカみたい。効率が悪いにも程があるでしょ?正規の店で一から十まで揃えなさいよ」



 フランケンシュタインの娘たち


「美佳ちゃんも何でいつも用事終わるの遅いのぉ?」
「……平、あんたがやった無差別事件の後始末が用事の内8割くらいあるんだけど?」
「へーい、ごめんなさぁい」
「全く反省してないでしょう、あんた……」

 こいつが私の学校に転校してきてから一年。このマイペース野郎の世話係はすっかり私が任されている。

 いくら主様の命とはいえ、もうそろそろ限界だ。

「あ」
「主様……」

 ぼそりと横で呟かれた声。
 主様に情けをかけられまくっているというのに、彼女に好意を見せないのもまた苛立ちを煽る。
 それでいて、話し掛けられれば自分のことだけを話しまくるのだ。


「あ、あのね、あいうえお順のー、名前のヤツ襲って、パーツとるの!それで新しいお人形さん作るの」
「それはそれは」

 主様の目線を一身に受ける平が憎い。
 いっそこいつを人形のパーツにして、散々にこき使って捨ててやりたい。
 ……ああ、いいな、それは。


「いえ、大丈夫です。少し日差しに目が眩んでしまって…」
「そう。……あなたには、いつも誰かの面倒を見させてしまっていますね……」
「気にしないで下さい」

 数日後には、横のこいつも面倒を見る側になるから。
 私がそう造ってやる。

「育てるのは、嫌いじゃありませんから」

 久しぶりに、本心からの笑みがこぼれた。





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最終更新日  2015.08.08 16:37:02
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