Laub🍃

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2011.02.15
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カテゴリ: 💫復活裏
 バレンタインの後、コンビニではチョコレート関係の値切り無双が続く。
 コンビニでバイトしていた獄寺は下手すると売れ残りのチョコレートを大量に買わされるらしく、「これを十代目に忠誠の証として捧げれば……!!」と息巻いていたので、知り合いの女子数名にイケメン店員が居るからチョコ買ってあげてプレゼントしてみたらどうなのな~的なことを吹聴しておいてやった。
 見事にチョコは売り切れたらしいが、獄寺には滅茶苦茶睨まれた。
 翌日の帰り道、ツナが坊主によってタイムセール(修行)に駆り出されたらしく、俺と獄寺が気まずい待ちぼうけをしている時、ついにそのことについて言及された。

「断るのにだって神経居るんだぞこの野郎…!つーかあの女子たちの料理進める目、ビアンキ思い出すんだよこの野郎!!」
「それは良かったのな~。っていうか、受け取ってやりゃいいのに」
「俺は受け取るのが嫌なんだよ。何か返さなきゃいけねえだろ」
「にこって笑ってさんきゅーって言えばいいのな?」
「てめえと一緒にすんな!!そんなにホイホイ笑えねえだろうが!!」



「んじゃ、ツナがもしくれたら?」
「は!?十代目はチョコを貰う側であって渡す側ではないだろ」
「男同士でも友チョコっていうのはありらしいぜ?」
「と、友達なんて恐れ多い!百歩譲って主従チョコだ!!」
「ん?」
 噂をすれば影。


「あっ、ツナー!今獄寺とツナと俺で友チョコ渡し合おうって話してたのなー!」
「ええっ!?」

 ツナは驚いたような丸い目を見せたけれど、それはすぐに困ったような笑顔に変わった。

「…獄寺君…やってみたいの?」

「あはは、俺もいろいろあって今年はまともなの一つももらえてないからね、やってみる?」
「はい!!喜んで!!!」
「コントみたいなのな~」
「なんか言ったか野球バカ」

 その後三人で菓子作りの練習をしてみた。


「よっしゃ、できたぜ!!」
「なんか合作みたいになっちゃったけどね…これ三人で食べればいいのかな?」
「はい!!」
「あ、でも形だけでも一応手渡しすっか?」
「いや、……やめとこうよ」

 グルルル、とでも効果音がつきそうな勢いでこちらを睨んでいる獄寺。めんどくせえ……
と思わない事もないけど、ま、こうやってみんなでわいわい食べるのも楽しいもんだよな。

「三人に渡されたチョコを食べてるってみんなで思えばいいんじゃない?」
「渡した側も俺らだけどなー」

 ツナが情けなさそうな顔で溜息をつき、それを獄寺が慰める。

 十年後も、こんなふうにほのぼのとした一日を迎えられるといい、そう思う。
 ずっと高校生のままでいられたらいいのに。


*****


 その後、毎年バレンタインデーの後は安くなったチョコを三人で買いに行き、作り、皆で食べると言う謎イベントが行われるようになったのだった。(誰も付き合ってない)

「山本さん達独身三人で妙なことやってるよな」
「けど、なんか面白そう。ボスがあんな気を抜いて笑えてるのって最近あんま見ねえから」
「日ごろの感謝として獄寺さん達に何か渡してみてえな」
「やめとけやめとけ、あれはあの三人限定だ」

 そして部下たちの間で友チョコが流行る。





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最終更新日  2016.09.15 20:29:46
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