Laub🍃

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2011.02.18
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カテゴリ: .1次メモ
「お前らうちゃ来い!幸せにしてやるから!!」
「てめえの幸せと俺達の幸せは違うんだよ」

 兄ちゃんは今日も、「すくいのて」を振り払う。

「ねえ兄ちゃん、そろそろおなかすいたよう」
「よし、買ってくるか」

 俺の人生は割とつまらないものだと兄ちゃんは言う。
 毎日毎日生きる為に働き、働くために生きているんだと。

「ほら、食え。今日はお前も頑張ってくれたからな、ちょっと多めだ」


 食べ物と寝ること。僕と兄ちゃんを子供にさせてくれる唯一のこと。
 三大欲求というんだよ、と兄ちゃんのお客さんの一人は教えてくれた。それなら、僕らにとってもう一つの欲求は大人との取引に使われるものでしかない。

「ねえ、兄ちゃん。僕らもあんな大人になるの?」
「まず、それまで生きてるかだな」

 頭のいい人も面倒見のいい人もたくさん見てきたけど、それでも僕らは大人として生きてくためにはたくさんのものを犠牲にしなきゃいけないってことを、見てきた。

「もしお前が汚い大人になりそうだったら、一緒に兄ちゃんと…」

 その先は、見たくない。





「お目覚めですか、総統!」
「……ああ。『彼』か」
「ええ」

 だって、

「総統、そのにやけた口元をどうにかしてください。部下達に示しがつかないではありませんか」
「いいや、だって『彼』と戦うといつも私は子供に戻ったような気持ちになれるのだよ。戦闘狂いの君には分かるだろう?」

 ピーターパンは子供を殺すという逸話がある。
 私はそれを大人になってから知ったが、実にもったいない話だと思う。


 ぎらついてずるがしこくなって臆病になって、それでも本能を解放する瞬間はとても楽しい物なのだ。
 今では、子供時代の商売相手、ある種の同類達がずいぶんとかわいく見える。





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最終更新日  2016.09.02 05:57:04
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