Laub🍃

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2011.04.14
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
安居達の前に、未来の荒廃した地球からやってきたという人々が現れた。
ここに居ればいずれ殺されるか心を壊されると言う。
だから安居達は、仲間とともに逃げ出した。



彼らは文明というものの恐ろしさを知ることになる。




彼らは外の世界を未来しか知らなかったし、未来からやってきた人々もすっかり、未来の文明崩壊した状態に慣れ切ってしまっていたから、文明社会を管理する人々……いわゆる公務員的な人々から追い立てられ、存在をなかったことにするか元の施設に帰るかの二択を迫られるだなんて考えもしなかったのだ。








……どんな想いも、身体がついていかなくちゃ、未来に繋がらない。


「帰ろうよ、安居」
「…茂」

 要さんのメッセージによれば。
 …同じように山の中を這いずるにしても…
 こんな風に、「シャカイ」っていうわけのわかんないものに追い詰められることはない」
「やめろ」
「僕なら、大丈夫だから」
「やめてくれ」
「安居は、こんな世界置いて、未来に行くべきだ」
「でも、未来に行くには、削るんだ、沢山沢山削んなくちゃいけないんだ」
「それでも安居は前に進んで、その時居る仲間で何が出来るか考えて、沢山の人を助けた、って聞いたよ」
「その人の中にお前は居ないだろ」
「……それでも、こんな、夢も希望もない所で、滅亡まで生きてるより…ずっと、そっちの方が…」

「安居。
 安居が一人で抱え込んで、苦しむことないよ」
「俺はそういうつもりで頑張ってきたんじゃない!」
「でも……どうするの。安居は夢があったから走ってこれた、僕は前へ真っ直ぐ進む安居が前に居たからここまでこれた。……安居、この生活をもっと続けてたら、もっと、生きてる意味が……ここまで逃げた意味が、分からなくなると思う」
「……」



信じられる相手がなくなった。

居られる場所がなくなった。

やりたいことがなくなった。


生きる為に生きている。

それは果たして正解なのか。

「……要先輩に、ききたいんだ。」

「これは、大丈夫なのか、って」

「教えてほしいんだ」

「要先輩が、大丈夫だよ安居、頑張れ、って言いに来るのをずっと待ってるんだ」



そしてそれはもうすぐそこにある。


「……僕もだよ」

「あの人達はおかしな環境だって言うけど」

決められたレール。

「僕も、安居も、そのおかしな環境しか知らないんだ」

歩みなれた道。

「だから、おかしな環境で、おかしな励ましを求めて、おかしな夢を追っても何も責められることはない」

外れる事など考えたこともない。

「帰ろう」

外れる事は、矯正される事。
もっと大きく外れる事は、消える事。

上から見る眼鏡越しの目による監視。
伸びてきた白い手が摘み取る温室の苗達は、悲鳴を上げることもできない。

「うん、帰ろう」


そうして彼らは、高みから見下ろす、あの目のもとに帰る。
あの暖かい手の元に戻る。





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最終更新日  2018.02.28 03:24:55
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