Laub🍃

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2011.04.24
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
文明が滅んだ世界で、俺達を導く役目として現れた人々。
彼らにとっての法律と宗教は、一人によって作り上げられていた。

「……が言うから」
「……ならこう言うだろうから」
「……が決めたから」

そして部外者であると位置づけられた俺達は、その一人を見たことも、声を聴いたこともない。

概ね彼らの行動は正しく、無垢で、合理的だった。

排他的なことと、その一人の居る場所に近付こうとすると酷く警戒されることを除けば。

「……あそこには居る筈なのよ。酷い怪我を負ってるから、会わせられないと言われたけど」

「……そうね。こっちの方が年季は長いし」
「でも、【そいつ】がまたダメって言いそうね……【そいつ】と直談判できたらいいのに。もうかれこれ数か月よ」
「あの人が、うちらとの合流の後押しをしたらしいて聞いたのになあ」
「多分あの人があのチームのガイドやろ?」

その名前は夏の季語だと教えてもらった。
珍しい、あまり聞かない名前だったけど。

「……」
「どうしたの?」
「……なんでもない」

彼らと初めに合流した子は、彼らを警戒している。
確かに別のチーム、それも排他的な彼らの中に子ども一人だと怖いだろうなあ。


「うん?」
「あそこに、誰が、どんな状態で居ると思いますか」
「うーん…大怪我を負っちゃったんだよな。口も身体も殆ど動かせないって、あの人達は言ってた。
 ……もしかしたら、その人は仲間を庇ってそうなったのかもしれないな。
 なんにせよ、こんな世界で、そんな状態でも見捨てないって……とても大変で、凄いことだと思う」

「うん」
「死なれちゃ困る、って、……副リーダーのあいつ、言ってたんだ。
 『リーダー』の為に、お前は死なせない、って」
「立場の為に死なせないってことか。大変だな、リーダーも」

「……あのさ…動いて役に立てない時、……その身体を使って、未知の食べ物の……」

「あら、こんな所で何を話してるの?」

「……!」
「あれ、どうしたんですか?」

「昼ご飯の時間よ。あなた達の仲間が探してたわよ」

「……」

「昼ご飯楽しみだなあ。……それにしても、あなたたちは流石ですね。ここにやってきて数か月しか経ってないのに、もうこの世界の植物や動物を、安全に食べる手段を見付けてる」
「沢山試せばいいだけの話だから」
「すごいなあ」


 今日も平和だ。





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最終更新日  2018.02.25 21:48:58
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