Laub🍃

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2011.07.03
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カテゴリ: .1次メモ
 まさかこんな局面で彼に助けを求めることになるとは。

「国の治め方だぁ?」


 酒処の四人掛けの机。私の座る席の真向かい、違う場所で似た立場の仕事をしている彼はそう呟く。
 喧騒を無視し、私は頷く。

「ええ。補佐官になって驚きました、こんなに毎日やることがあるとは……特に、南方の良くも悪くも活発な民族と、中央の在来の方々の折り合いが……」
「……俺ァ、初っ端から恐怖政治敷いてたからなァ……」
「あ、恐怖政治のやり方についての伝授は今回遠慮したいです」

 これが始まるとまた長いのだから。


「……ええ」

 彼は私より14も年下。いや、けれどそれがどうしたというのか。
 正規の補佐官でないとはいえ、この仕事については彼の方がずっと手練れ。


 しかし、そう思ったのがそもそもの考え違いだったのか。

「……なので、私は取り締まる時には必要とされるかもしれませんが、祭りには本来あまり口出ししたくないですし、私が祭りの一手を担うなど……」
「俺、そんなん気にせずやっちまうけどな。大体、民衆は下世話な噂と憂さ晴らし、綺麗なお姉ちゃんや艶本、夢物語でもありゃ満足すんだから」

 くそ、話が通じない。

「……私の所は、そうでもないみたいですが」
「え?……ふーん、お前んとこの民衆ってどんなよ」
「……そうですね。まずあなたの所よりは女が多いです。そうして、人々は本よりも現実世界に関心が高く、催事、また自身の体を鍛えることに興味があ」
「……リア充かよ」



「え?」
「いや、なんでもねえ。あー、じゃあわかんねーわ。うーん、俺だったら体鍛える為っつーことで民の喧嘩路上で買いまくるんだけどな」
「それは本格的にまずいじゃろうが!!」

 長老が参戦してきてくれた。

「長老…彼の言っていることが私には実行できそうにありません……」

「新しく街にやって来た人にはこれが風習ですって言ってるんで心配しなくていいっすよ長老」
「心配という問題ではない!!!」

 ああ本当に、彼が羨ましくない訳ではないが、真似できるともしたいとも思えないのは私の弱気さゆえか。



*****


 異世界に番長がトリップして成り上がり補佐官になった話。

・可愛いけどちょっと異形な少女に落し物を届けようとしたら全力で逃げられ何故か燃えてきて追い詰めてイヤーカフスを届ける頃には異世界トリップしていた里熊くん
・そんな彼を付かず離れずの距離で観察する違う地方の政治を一部任された補佐官Qちゃん(男)





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最終更新日  2015.08.06 02:14:33
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