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長押綴

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2011.07.28

・鬼ごっこ＝脚が遅い者から、躱すことが苦手な者から、目立つ者から餌食になってゆく…
　　しかし、「鬼」の中には敢えて強者を狙いに定める者が居る。
　　強い者も追われ続ければ体力を失っていく。追いかけるため走り続ける鬼もそれは同じ。
　　しかしそれを防ぐ「１人狙い禁止」により、鬼は体力回復していく彼らを尻目に他の者を追いかけねばならなくなる。鬼はいつでも追いかけることが出来る。だが、頻繁に休んでいては遊戯が成立しない。故に鬼に安息は無い。鬼が解放されるのは、新たな鬼をその手で作り出すその時だけなのだ―――（鬼返し禁止の場合）

・氷鬼＝捕まえろ捕まえろ。人質を捕れ機動力を奪えこの律に従う者達の全てを支配しろ。
　　しかしそれに歯止めを掛けるものがある。鬼以外の全ての動ける者達は、氷漬けにされた彼らを救うことが出来るのだ。鬼は、財宝たる人氷を手に入れれば手に入れる程、そうしてその場所を選ばねば選ばぬ程、守ることが難しくなっていく。凍らせろ凍らせろ、さすれば手に入らん。守れ守れ。さもなくば全てを失わん。
　　一人でも動ける者が居る限り、反撃をゆめゆめ忘るるな。

・どろけい＝その世界では人は二つの種類に分けられた。捕まえる者と、捕まえられる者。
　　氷鬼と違うのは、追いかける者が複数居ること、捕まえた者を移動させられること、そして追いかける側が「警察」――そう、正義の呼称をつけられること。

・増やし鬼＝「つーかまーえた」
　　その声は、以前仲間だった、共に逃げていた、そうして私の代わりに身を挺して捕まったあの子に似ていた―――

・手繋ぎ鬼＝もうどこにも逃げ場はない。あっという間に囲い込まれて、仲間にされてしまう。
　　仲間になればきっと安らげる。けれど私は最後の一人になるまで徹底的に逃げて逃げて逃げてやる。
　　そう、何も離れるだけが逃げることではないのだ。隙を探せ。逃げる、追い詰められた振りをして、瞬時に転じて向かっていけばいい。そうだ、あそこがいい。走り狙いに気付いた彼女彼らの腕が下がるぎりぎり下を通り抜ける。そうだまだ行ける。端と端が焼いたスルメのように丸まって捕まえようとするが今更もう遅い。私はまだ逃げられる。
　　……けれど、二度目の正直はならなかった。あの時私が逃げたことに警戒して相手はもう包囲網に隙を作ってくれない。くそ、これまでか。

・花一匁＝あの子が欲しい。あの子じゃ分からん。取って取られて、人を取り合っている間はまだ平和だった。均衡が保たれていたから。しかし私達の陣から一人減り二人減り、そうして最後まで手を繋いでいてくれたあの子さえ居なくなったその時私は、巨大な大蛇を前に慄然と立ちすくむことしかできなかった。あの子が欲しい。あの子じゃ分からん。謡声が笑い声のように私を包む。ここには私以外私の味方は誰も居ない。
　　いや、私以外の全てが、味方同士なのだ。

・達磨さんが転んだ＝鬼は最後の最期まで追いかけることは許されない。鬼が振り返れば皆止まるのに、止まらぬ者は鬼に捕まえられるのに、石像であれば鬼はそれを自分を追ってくる者として捕まえることが出来ない。そうして最後に触られた瞬間達磨さんは凄い剣幕で彼らに歯止めを掛ける。そうして歩き出す。彼らの言う距離だけを。そして最初の者が餌食になる――その隣、彼より少しばかり遠い「彼」はほくそ笑んだ。紙一重で助かったと……達磨さんに一番近い彼が「初めの一歩」と言うまでは。……そうして「彼」は、紙一重で身代りに消えてしまった。
　　数日後、達磨さんの顔がなんだか違うと言う噂が立ち始める。それは「彼」に似ていた。

・かくれんぼ＝見付かったら負け。その瞬間刃がずぶりと立ち、見付かった者は見付けた者の下に置かれる。その後の身の振り方には二通りある。だんまりを貫くか、それとも元仲間を売るか―――

　　そう、その為に俺達は糧になろう。一人がカンを蹴り飛ばすことが出来れば俺達がいくら壊滅しようとも本望なのだ。鬼がカンを抱え込んでいようとも、その下をかいくぐって蹴り飛ばせ。鬼がカンを離れた時、鬼が俺達に背を向けた時が好機。
　さあ未だ名を呼ばれぬ勇者たちよ、素晴らしい囮作戦の開幕だ。

よくあるホラーもので言うと、
「廃墟／教室／祠で１人だけ閉じ込められる、バトンタッチすれば元の者は出る（生者として／入れ替わって／成仏する）ことが出来る」＝鬼ごっこ（追わずに引き寄せる）

「増えるゾンビ／吸血鬼」＝増やし鬼

がそれぞれ重なります。

　外遊びのルールって邪推のし甲斐があって好きです。

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