Laub🍃

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2011.08.17
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カテゴリ: .1次メモ
 ある村に魔法使いが訪れた。

 魔法使いは「ぶつり」と「かがく」と「すうがく」と「ちしき」その他諸々の魔法を駆使して、僕達の荒れ果てた畑を豊かにしてくれた。不治の病の妹を治してくれた。

 数か月後、魔法使いは「でんわ」という魔法の道具を使って、一人の仲間を呼び寄せてくれた。
 占い師だ。

 占い師は「しんりがく」と「けいざいがく」と「てつがく」と「しゃかいがく」その他諸々の占いを駆使して、僕らのもつれた三角関係から、王政破綻後に最小限に被害を留めてくれた。


 彼らはどちらも、「これは魔法じゃない」「これは占いじゃない」「「不確かで夢見野郎か詐欺師しか名乗らないようなそんなものじゃない」」と言う。

 「君らにもなれるんだよ」と。


 でも、僕らはなれない。向いていないんだ。

 だからとっくに飽きた野の耕しか、さもなきゃ山に入って獣を捕ってくるかで充分。





 彼らは今、「もしも我々が死んだら、継ぐ人が居ない」と、跡継ぎを探している。
 けれど見付かる筈もない。

 だって治癒や予見は彼らによる恩恵であって、僕達が動かせるものでも、動かしたいものでもないんだ、運命ってものは。……責任ってものは。





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最終更新日  2015.08.27 00:09:52
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