Laub🍃

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2011.09.03
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カテゴリ: .1次メモ
 昔、友達から傘を借りて、返すのを忘れたまま友達が引っ越してしまったことがある。

 青に星柄、小さな傘は使う機会があるはずもなく、俺の部屋に鎮座している。

 俺の初恋。それは俺の愚かさとともに、唯一残った小さくて綺麗な世界を守っている。





 昔住んでいた地元に戻ってきた。

 ついでだから、貸したままだった傘のことで覚えていた君に会いに行ったら、君は随分と驚いていた。

 あの頃より随分と背も伸びたから当然と言えば当然だろうか。







 けれど俺なんかが持っているよりもはるかに傘にとって幸せなんだろう。





 傘と妹を見詰める君に嫉妬した。僕じゃだめなのかとつい先日言ってしまった。

 僕の初恋は再燃した途端に妙にねじくれたその姿を表していた。

 小さな傘は僕の歪みと同じように歪んだ。





 俺の部屋には、修理された小さな傘がある。頭のおかしい奴から取り返してきた大事なもの。

 きれいな世界、あの子の居る世界。その下に居るのは、その傘を守るのは、綺麗な子じゃないといけない。でも、適任者が居ない以上俺がやるしかないんだ。

 小さな傘を広げると、中心から星屑が降ってくるように思えて多幸感に包まれる。

 嘘からも、真実からも、この世界を守らなくては。 





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最終更新日  2016.09.04 00:50:39
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