Laub🍃

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2011.09.06
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カテゴリ: .1次夢
私は負けず嫌いだ。


普段の勝負は勿論、
逃げることが勝ちならばどこまででも、他人のことなど気にせず逃げ切りたい。










その話は単なる「噂」ではなく、「知らせ」だった。




放課後、学校にとどまっていると「顔」が現れる。

ドアの隙間をねじ開けるようにムリムリと無理やりにとおって、そしてその大きな口を開いて私たちを食べる。
特に頭が好物で、誰かの頭を食べたらその後は満足して、他の人間を追いかけてくる。

それを話されたのは丁度学校にとどまっている時だった。




私はほうほうの体で逃げ帰った。私は幸い傷はなかった。
他にも何人かが逃げ帰っていたようで、彼らは危険を教えるべく「知らせ」を周りに触れ回った。

「学校」は、やばい、と。


しかし、次の学校の「昼」には生徒たちが集まっていた。何故かは知らない。
私は気が付いたら学校に居たが、周りには自分の意思で来た人間たちも居たようだった。


「昼」だ。だから大丈夫だと思った。追い回され、無理やりに小窓を抜け飛び降りた昨日とは全く違うのだ。

けれど、小さな公衆トイレにこもる人間や歩道橋のような橋の上に立て籠もる私たちの眼下には

大きな「人」が居た。

その近くで何故か体育教師など、調子の良い人たちが声を張り上げ「気合で逃げ切れ」ば大丈夫、だと根拠のないエールを送っていた。学内にある巨大な用途の不明な歩道橋は大きく4つに、登り方でさらに2股くらいに分かれていて逃げる為には適していたが、下から追ってくる相手が複数居る場合は四面楚歌になりかねない、どこから逃げればいいのか分かりにくいものでもあった。


うぞうぞと私たちはどうしたら逃げられるのか、学校の外に出られるのか分からないまま歩道橋の上を動いた。
私が歩道橋を降り始めたのは、「人」の他に何が居るのか知りたいがためだった。



何をされるかも分からないまま、「不規則に動く足」から私は逃げて再び別の方向にある階段に向かったが、それこそ間違いだった。後ろから何か迫る何かに気圧され振り向けもせず私はひたすら上る、手すりを掴む手の感覚が薄い。まるで夢を見ているかのように動きが鈍い。周りの皆は私を置いていく。走っていくその足がとても速くて何故そんなに早いのかと思う、その間も他の方向から「リモコン」が近付いてくる。「オラオラオラ何逃げてんだよ何もしねーよ」と言うその声を出す口は明らかに何かを喰う者のそれで、左から迫るそれの後ろには「箸」が控えていて「下品ないい口はやめておけ」と言っている。私は逃げ場がなくリモコンがすぐ近くに迫ってもすぐには手を出されず左右に揺れていたので手すりを飛び越えようとして――瞬時に体が熱くなった。

熱い、熱い、特に首の辺りが物凄く熱い。その瞬間随意で体が動かせるようになった――というか、
私はその瞬間これを「夢」として認識していた。





夢だとしても負けたくない、捕まって喰われたら私は負けたのと同然だと思った私は
動けと、あちらには木が、ブロックがあるからそれを足掛かりにして進めばいい、と


やった、逃げ切った、と思った。学校の周りの杉の木を、格闘漫画の主人公のように飛び越え、
外の道路に出た。後ろの惨状は知らないが、私はこれで逃げ切ったと思う。

妙に実感が薄い。首の熱さだけが他の感覚より何倍も強い。
目の前の光景はぼやけ、足の感覚も手の感覚もなく、私は目を覚ました。


もしかしたら夢の中の私は「逃げ方」を妄想しながら死んだのかもしれない。
とするとこれは負けだ。


だが、一方もしこれで死ななかったらずっと眠ったままだったのかもしれないと思うと
少し怖くなる。誰かに起こされたり、もっと「逃げ道」があるのかもしれないが。
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最終更新日  2014.09.08 12:24:41
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