Laub🍃

Laub🍃

2011.10.26
XML
カテゴリ: .1次小
眠いんだ。

のう、一緒に眠ってはくれんか。

周囲に期待を押し付けられて、僕はそれにうまく返すことができなくて、悪い子と言われ、良い子と言われて、混乱ばかりしていた。
家でも、学校でも落ち着くことのできなかった僕は、そんな誘いをする神社の祠の中によくお邪魔した。

「駄目だよ、帰らないと怒られるから」
「大丈夫、まじないをかけてあげるから」

そのひとが言った通り、何時間も眠った筈なのに、時間はあまり過ぎていなかった。
祠を出ると入った時と同じ、夕焼けにちょっと差し掛かる空の色。

ねむれ、ねむれ、よいこもわるいこもみんな。


海の中で揺られるように、僕はいつものようにそこに行く。

そのひとが誰かは知らない。
一度、神社の管理人さんに怒られたこともある。

だけど僕はそれでも、そのひとが寂しがるから通い続けた。

「ありがとう」

一緒に眠るだけでそのひとは嬉しそうにするから、何も持っていない僕でも身一つでいいのだと言ってくれるから。

僕は今日も、その衣に包まれに行く。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.04.16 11:58:14
コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: