Laub🍃

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2012.02.19
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カテゴリ: .1次メモ
 うちの兄貴はおかしい。

 なんっつーか……おかしい。


「なあなあ、前途!俺フレーメン反応一回見てみたかったんだけどさ、ちょっとユクエ抑えててくんね?」
「わけがわかんねーんだけど」

 帰宅したら早速うちの猫・行方を抑えつけているうちの宇宙人・兄貴。

「もうちょっとで屁が出そうなんだよねー」
「は!?」

 なあ頼むからあんたもっと落ち着いてくんねーか。


「あ、勿論前途は息止めてていいから!」


 人相のクッソ悪い行方はその黒い顔をさらに歪ませて、ぶにゃあと鳴いた。







……それが、つい2時間前のこと。


「おっ、難しそうな本読んでるじゃん」
「現代文の課題図書。別にむずかしくねーよ……兄貴も読んでみる?」
「んー、どんな話なの?」

 兄貴が興味津々な顔で聞いてくるから、説明したというのに。

「ジェ●クは夜遊びしに行くブ●ットに、元恋仲っていうこともあって止めに入りたいけど、できないわけよ。なぜならジェ●クはせいて」
「わーーーーー!!!やめてやめてやめて!!前途ちゃんの口からそんなこと聞きたくない!!」

わけわからん。つーかあたしじゃなかったらいいのか。

「は?…面白いのは、ここからなのに」
「いや、いや、いいよ、もう分かったから」



……あんたこの間、宅配で上半身裸で出たりしてたよな?あんたの恥ずかしさスイッチが分からねえよ……。

「とにかく、妹の口からそんなこと聞きたくないの!」
「…じゃー、将来ならいいわけ」
「…………あ、いや、よくない、よくないけど!!」


 今なんか間があったな。




 くそ、こいつらどうせエロ本の貸し借りしてんだろ?男兄弟同士の絆ってやつか、はっっ。


「……あっそ、ま、じゃあいいや。気になったら読んでみれば?」

 そう言い残して部屋を出る。

「あ、ちょ、ま、」


 少し大き目な音を立ててドアが閉まる。やっちまった、ちょっと強く言い過ぎちまったかもしれない。
……あー、あっつい。

 そういえば、居間廊下の暑さから避難して子供部屋に居たんだっけ。すっかり忘れてた。


 兄貴のエロ本を見付けて、それについてもし熱く語れるとしたら、どの可愛い子がタイプ―?とか語り合えるとしたら、そうしたらこの変な距離もなくなるんだろうか。……うわ、きっしょ。想像しただけできもいな、そんな自分。


「図書館行ってきまーす」
「いってらっしゃーい」

 弟の声を聞きながら、あたしは。

 兄貴とあたし、あと将来のどっちも面白がれる、そこそこ下世話な本を探しに歩き出した。





【end】
ーーーーーーーーーー


裏設定:


外では性格イケメンと名高い道程・みちのり(18)
外ではお嬢様ぶっている前途・ぜんと(14)
外では年の割に落ち着いていると言われる将来・まさき(12)
外では俺様ぶっている行方・ゆくえ(16)



外面家族


150622





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最終更新日  2015.06.23 08:27:34
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