Laub🍃

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2012.04.04
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カテゴリ: .1次メモ
「あいつなんていなくなってしまえばいい」
 そう言って、私に似たあいつを蔑むと、今日もあなたは「そんなこと言わないで」と笑うのだ。
 私のあなたと似た長い髪を撫でながら。
 その柔らかで誰にも公平な神様のような笑顔がやっぱり好きで、あいつになんて渡したくなくて。


 思い出す。昔からあいつは気にくわなった、唐突にばかなことばかり言うあいつが。

「な・・・なあ、俺も一緒に行っていいか」
「お前には関係ない」

 ああ、図々しい男だ。姐さんに気に入られているからって調子に乗りやがって。
 大体おかしいと思わないのか、レディース同士の決着に男が来るなんて。姐さんを送るため?私が送るわばーか。



「まあ、もし男手が必要になったら呼ぶから、1分以内に来いよ」
「無茶言うなよ!」

 番長が笑うと、私らも笑った。

「いいねえ、お前囮役な」
「それボコボコにされる前提だよな!?」

 ああ、あの頃は良かった。


「ずっと一人でいればいいんだ、あんなばか。あんなかっこつけ」
「・・・そういう所も、いいじゃない」
「私は大嫌い」

 ずびっと鳴る。こんな顔を見せられるのは姐さんの前だけだ。
 そしてきっと、あいつにとっても、そう。




 あいつが問題を起こし、前の高校ーバスケの名門校ーを追放になったのは、絡まれていた私を助けたからだ。
 姐さんならまだ分かるけれど、なんで私?そういうかっこつけなところも気に障る。

 でも、時々酷く落ち込んだり昔を懐かしむことがあるようで。そんな時決まって相談相手になっていたのは役立たずの先生でも厳しい家でもなく、姐さんだった。

 それが恋に変わったのは、いつごろか。


「結婚しても、弱いもんいじめとかあったら駆けつけるし、新入りの話は聞きたいから!そんなに寂しがることないって」
「でも・・・うううう」
「泣かないでよお・・・・・・」


 ああ、姐さんが光る世界に行ってしまう。

 それはきっと姐さんの救いなんだろう。
 そして、

「あんたも早くいい人見付けな」
「姐さん以上のイケメンなんて存在しないっす・・・・・・」

 きっと、私にとっても。





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最終更新日  2016.04.27 16:39:31
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