Laub🍃

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2012.08.27
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カテゴリ: .1次メモ
 祈るように彼女は斧を振るう。
 骨を折り、肉を削り、そうして世界を再構築するための準備をする。

「オノ、それくらいでいいよ」

「…………はい」


 誰かが、もういいと言うまで。


「よく疲れないね」
「私にできることは、これくらいですから」

 そう言って彼女はまた立ち上がり、武器を取る。

 そしてそれを投げた先には私……の、後ろの敵。


「いえ」

 さすが『解の地』の者、といったところか。

「死体は穴の地にでも運んでおきますか」
「当然だろう」

 分かり切った事を訊いてくる無能に言うと、びくりと肩を弾ませる。
 ああ、こいつをクビにして、代わりにオノをもう一人雇えたらいいのだが。


 …解の地。あそこは、他の地ではやっていけない者が物を分解することで生計を立てている地。だからこそ下の下の者として認識する者も少なくない。だが、私はそうは思わない。むしろ彼女ら彼らこそ世界の構成に必要不可欠だと言うべきだろう。

 そこに育つ者は幼い頃より解体道具を握り、それが使われぬ物だろうと建物だろうと……死体だろうと、解の地にやってきたものや、解の人々に舞い込んできた依頼ならば何でも解いて見せる。

 始末屋。そう呼ばれる、解の地の中でも特に洗練された技を持つうちの一人がオノだ。

 そんな彼女を用心棒として雇ったのが、『開拓者』スイロ。私だ。

「あらかたここいらは片付いたかな。」



「はい。見落としがなければですが」
「随分と眺めがよくなったね」
「隣国の門が目障りです」
「……それは流石に君に頼めないよ。うまいこと、新たにやって来る彼らにやってもらおうか」


さて、秩序だった処を。我々に素直な国を。とても使い勝手の良い世界を。創り上げようじゃないか。





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最終更新日  2015.07.19 22:12:39
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