Laub🍃

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2012.08.28
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カテゴリ: .1次メモ
「こんな所にゴミを置きっぱなしにするな」

 それは僕の荷物です。




 スイロ様は、僕の事が嫌いのようだ。

 新たな大陸の制圧中。出稼ぎに近い僕の荷物の一つ、母からもらったお守り。それを無駄なものだと捨てられても、僕は何も言うことができなかった。僕が悪い。僕が悪いのだから仕方がない。次に頑張ろう。そう思って今日も歩き出すけれど、頭には理解できない、したくない、してはならないもやもやが凝っていく。

 オノだったらきっと捨てられなかったんだろうな。いいな、ずるいな。

 けれど捨てられたのは僕が悪いからなんだ。きっと僕が要領が悪くて、無駄にプライドがあって、何より能力が無いからなんだろう。

「どうしてお前はオノのようにできないんだ」
「……次から頑張ります」


 何度目だろう、そう言うのは。



 僕だって、僕だって。

 そう思ってスイロ様の背中を追いかけても、スイロ様はこっちを振り向くことなどない。

「オノはいいな」

 でも、それを他の人に言うなんて、プライドが許さない。
 こういう所が僕は駄目なのだろうか。

 僕はいつも切り口が汚いと言われる。いつも中途半端な殺し方をすると怒られる。軍隊時代の先輩や他の上司の方々にはたまに褒められることがあるから、それでどうにか慰められて、どうにか歩き続けてはいられるけれど、そろそろ限界だ。

「壊したい」

「壊したいな」

オノの武器。スイロ様の創り上げた平地。それらに支えられる、これから作られるであろう世界。

みんな僕の気持ちと同じくらいに壊れればいいのに。

「スイロ様が僕のやったことだと気付かないままに慌てればいいな」



くく、と笑うと、またスイロ様から「また無駄な考えをしているな」と怒号が飛ぶ。

「すみません」
「全く……力がないなら少しの時間でもオノを見て学べばいいというのに」

知るか。

僕はオノとは違う方向で輝いてやる。







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最終更新日  2015.07.20 01:50:42
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