Laub🍃

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2012.09.15
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カテゴリ: .1次メモ
 沈んでいく。ひたすら底へ沈んでいく私を留めるのは時々出会う空気の泡。

 それを吐き出しているのは目を閉じている私。息の供給がある限り私の理性は私の生を沈ませない。

 けれど息の供給が最近ことに難しい。

 好きな人への恋心と、誰か私を必要としてくれる人。

 いますか、まだのこってますか、だいすきですか。

 答えは一つじゃないなんて誰かは言うけれど、答えが一つだったらこんなに苦しまずに居られただろうか。

 ……抗わずに、沈んでゆけただろうか。


 こうして悩むことしかできない私は、日付が変わればまた人に会う度笑顔になって、一人になった途端顔の色を無くす私は、夢の中に引きこもっていたほうがいいんじゃないか。

「起きなさい」

「だめ~!」
「ちょっ陽紀重い……」


 それでも朝は来るもので。

 どすっと音を立て私の掛布団にめり込んだ我が弟を引っぺがしも出来ず、もぞもぞと数分動いてから、起き出す。

「・・・・・・そろそろ離しなさい陽紀。重いでしょうが」
「そしたらねーちゃん寝ちゃうだろーが」
「寝ないってば」

 それでも離さない弟の体温に、何故か昨日流しっ放しにしていた涙の跡が、本当の意味で消された気がした。


 ……そして、布団と弟をくっつけたままリビングに行った私は「お姉ちゃんなのに何やってんの」と怒られる母の声で、やっと現実に戻ってきたように思えた。


 ああ、弟は、母は、ついでに今仕事に出ている父も、私を面と向かって必要とはしてくれないけれど、きっといなくなったら悲しんでくれるんだろうな。


 沈んでも、この人たちは近くで見守っていてくれるのかもしれない。あ、仕事とかで忙しかったらその限りではないけれど。








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最終更新日  2015.08.19 22:39:05
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