Laub🍃

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2012.09.19
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カテゴリ: .1次メモ
 うちは甘いものが大好きや。

 そう、魔王様に振り回されてくたくたな一日を買っておいたあんま~いスウィーツで締めるんがうちの日課。

 なんに……

「げ……」

 なんに……っ!

「暫く旅に出ますやとぉ~っ!!?」

 城下の治安が悪くなってしもうたせいで、金を持っとる所は監禁誘拐されんように逃げ出していく一方。お気に入りの店は自衛の為、旅商人になる一方やった。
 そらまあ、どっかの出先で会えるかもしれへん。けどそれは偶然頼りやし、旅しながら作れるもんは品数限られてまう。
 それもこれも……っ



 王座に影武者を座らせて自分は悠々自適について来とる魔王様を睨み付ける。
「アンタがしっかりしないからや……」
「はぁ?」
「アンタが!城下の人々!しっかり支配しとらんからやぁ!!!……っそのせいでうちのあんま~いライフがぁ……めっちゃくちゃやぁ……うえええええん」
「お、おい」

 うちは基本的に執着せん。人に対しても物に対しても自分の矜持に対しても。せやからモラルがないとか人倫から外れとるとか言われてまう。けど、これは別や。

「うちのすいーつぅ……」
「よくわからへんけど、うちのコック共じゃあかんのか?」
 幼児なりに必死に償おうとしてくれとるのは分かる。分かるが、流石に限界や。
「いつ何を混入されるかわからへんやろぉ……栄養分だけ摂取する魔法つこうたら味変わってしまうやん……」
「……やったら、サルビア。ちょっとだけ東行くか?」


 国外への瞬間移動は国王ないし類する人々の許可が要る。
 魔王お付のうちかて会議以外の私用ではなかなか許可が降りひんし、帰ってくる時の時間制限もある。

「なんや、東で魔王討伐隊の有望なんがまたできたらしいやん?」
「ぎくっ」
「いや、お前の最近のそわそわしたりふぬけとったりする様見とったら一目瞭然やで?」


 素直過ぎるのはむしろ長所。元仲間のサラならそう言ってくれるんやろうけど、基本的に馬鹿しか見てへん気ぃするわ。

「ほら、許可印」
「はい」

 手を差し伸べる。ぎゅっと握ると、そこには「24時間」の文字。

「俺も影武者一応作っといたからな、一日くらいなら大丈夫や」
「え?」
「俺も同行するにきまっとるやろ?面白いもん見たいもん」
「自分にいずれは届く刃を面白いてアンタ…」
「俺は負けへんからな。負かすやつおったら見てみたいわ。この間の奴らもその前の奴らも」
「あー、はい分かりました分かりました。じゃ、行きましょう」

 このままやと自慢大会がまた始まりかねん。適当なとこで切り上げとくに限る。

「分かったらええねん。ほな行くで」
「はいはい」

 まったくうちの魔王様にはかなわへん。
 しかしうちのお菓子への欲求のほうにはもっとかなわん。


***


 質の悪い方の盗賊団育ちで、その中では「行儀のいい方」だったので世間のモラルとうっかり外れても指摘されて初めて気付く系女子サルビアちゃん。
 そんなサルビアちゃんに突っ込みを入れてきたしっかり者サラちゃん。
 一緒になって悪乗りしたポーマス。

 手綱をお互いに取り合っているサルビアとタイダル。





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最終更新日  2016.07.03 05:49:11
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