Laub🍃

Laub🍃

2012.11.12
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カテゴリ: .1次メモ
「なぁなぁチムよ、浜辺亭の踊り子の中だったら誰が好みだ?」
「給仕のミモレ君かな…」
「まあお前ならそう言うだろうと思ってたよ…」
「リシカはシベリアちゃんだろ?」
「まあな!あの突き放しつつも酔い潰れたら解放してくれるのがたまらないね、あとエロい」
「そうそれ大事」



 混ざりたい。

 すごく、すごく混ざりたいあの会話。


 しかし俺の今の立場超坊ちゃん。


「セッ…セッ?……坊ちゃんはどういうタイプが好きなんでしたっけ」
「…無理に話題振って来なくていいよちくしょー…」

 ぎりぎりぎりと隠れている壁を掴む。ちくしょーいいなあ混ざりてえくそう…


「強いて言うなら今はルオンヌさんの胸にダイブしたい…」
「俺の懐は空いてますよ」
「柔らかいママさんの胸と比べたら天国と地獄…」
「あっこのやろ」



 取り敢えずつかの間の平和。だからこそこんなこと考えられる。
 そう考えて自分を誤魔化す。

 …でも、考える暇のない戦乱が、今ちょっと懐かしい。

「昨日の今日でまた殴り込まれたらもうこの船耐え切れませんよ」




「……い、いや、でも、なんか昨日は急に引き返してったし、あっちにもあっちの事情があるのかもしれないし、そしたら一応補給地に戻るまでは無事ってことに……」
「他の船に襲われないとも限りませんよね?」
「何でお前はことごとくこっちの希望的観測を破ってくんだよ!?」

 くそ、本当もう色々なこと考えると頭がきりきりする。

「……セッティーニ?どうした、酒飲むか?」

「俺達のルールじゃ14から飲んでいいってことになってんだろ」

 ああ、でもいいや、この声で全部忘れられる。

「……え、あ、」
「こいつ酒飲むとえらいことになるからやめといたほうがいいっすよ。元々性格悪いのに、飲むと更に
    ・・
 嫌~な正体晒しますから」

「飲ませたのかよ!」

 幼馴染、止めてくれて礼を言う。あと後で一発殴らせろ。





―とある船にて、―





「やべぇやらかしたよ……滅茶苦茶やらかしたよ……」
「どうしたクジャ、お前がやらかしてんのはいつものことだが一応聞いておく、どうした。また下らないことだったら今度からガン無視するがどうした」
「そんな強調する!?あ、いや、いいです、やっぱなんでもないです」
「もぉ、ルークったら言い方怖いってばぁ!どしたのクジャちゃん、レグラ聞くよぉ?」
「多分あの船であいつ…船長捕まって働かされてる」
「うん、だろうな」
「そだね~それがどうかした?」
「……で、多分さっきそいつっぽい奴が甲板に残ってたの……うっかり砲撃しちまった」
「……うん、……だろうな」
「…………ルークー、お菓子食べるー?新作できたのぉ」
「よし、もらおう」
「え、何この反応、俺がおかしいの?」
「ちょくちょく女に会いに船抜け出してたお前には分からない色々な複雑な事情が僕とあいつの間にはあるんだよ……」
「そぉそぉ、クジャちゃんが居ない時に色々あったのよぉ」
「えええええ……」



 なお、砲撃されたのは髪の色が似た別人だった気がするが、この会話をした直後ボス達は引き返した。もし本当に船長があっちに捕まって無事だったら、助け出す作戦を立てるつもりなのだろうかと俺達は盗み聞きを続けたが、

「もしあいつが無事だったとしても、もろとも最大火力でぶっとばすってことでいいすか」
「クジャちゃんがそうしたいならそうすればぁ」
「いやあんたらそういう方向で話進めてたんじゃないんすか!?」

 この会話を最後に、ボスに見付かり強制的につまみ出されてしまった。




  ―――――――――――――――――――ある手下Aの手記より





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最終更新日  2015.12.28 14:18:11
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