Laub🍃

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2013.02.08
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カテゴリ: 🌾7種2次裏
「ここが分からない」と言わないと、教えてはもらえないことがある。

だけど産まれてからずっと、安居が「言いたくない」と言ったことをあまり訊けたためしがなかった。
熱を出して寝込んでたとか、ちょっと涙目だとか、分かりやすく怪我をしていたとかなら聴けるのに。


「茂はどうする?」
「…僕は…」

『…ずっと起きて待ってる』


そうやって教えてっていうのも、結局は甘え。
源五郎はそういうことを言わなくても訊きだしたのかもしれない。



安居が言えるような人間になるまで、


何も言うに言えない。



かさぶたの中の棘を押し出すにしても、
見付からないものがあるにしても、
外への憧れを語るにしても、


みんなどうなってるか分からないかを伝えないと相手に頼れない。
みんな、相手が頼ったら答えてくれる人でないと心から訊けない。


臆病な僕は、安居に言われたようにしか、きかれたようにしか、頼まれたようにしか生きられない。



今日も僕は君の涙を見たことを言えないまま、訊けないままだ。





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最終更新日  2017.05.23 09:39:08
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