Laub🍃

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2014.04.12
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カテゴリ: ●書
チャリディ可愛いよチャリディ...






チャーリーが、満足だと思っていた自分の一生に、リディアちゃんの言葉で
不安を感じはじめるところが好きです。
平和で穏健で健全だけれどどこか不自然なチャーリーの育てられ方。
一方、礼儀を心得ていて、謙虚に過ごしてはいるものの奥に激烈な野生的な熱情を秘めたリディアの目。
チャーリーとシモンの対比とはまた違った対比があって面白いです。

人はみな見ているものが違うのに、違って当然なのに
どうしてチャーリーの母は「見方」をあれだけ語ったのでしょうか
どうしてチャーリーの父母はお互いに藝術において途轍もなく物分りがいいのでしょうか


リディアは恐らくそんな余裕は持てない。
リディアは楽しむためだけのものとしては見られない。
リディアはただ自分の為だけに絵を楽しむ。

リディアは貪欲かつ清貧な印象です。


夜中に純朴そうな青年が眠っている娼婦(ただし友達)を襲おうとして
その涙にしょぼしょぼしょぼ・・となってしまう

可愛いです。
切な可愛いです。

リディアちゃんのほうが年上なのも一層チャーリーがやり込められている感があって良いです。


寝ている間、無意識の自分もまた自分の一部だというのがいいですね。
ジョハリの窓で言うところの他人に知られていて自分が知らない窓でしょうか、他人も自分も禄に気付けない窓でしょうか。




シモンにとって、本当にチャーリーは親友だったんだなと思います。
そしてそれは、チャーリーがシモンを親友だと思っていたからより一層そうだったのだと思います。


リディア・チャーリーの対称性
シモン・チャーリーの対称性

それを見ると、チャーリーの印象がだいぶ変わってくることも面白いです。

自分の生活に満足している小市民ながら、凄く素敵に育ち育てられたチャーリー
貧窮して地味で哀れながら熱情を秘めるリディア
裕福で自分の証を残さなくてもいいと思っていて素直すぎたチャーリー




チャーリーの人生はこれからなのか
チャーリーの人生はこれで終わってしまったのか

チャーリーはこれから違う生き方をするのか
チャーリーはこれから灰色じみていると自覚したまま生きていくのか

おそらく答えはない。


・・・・・・・・・・・・

訳者さんの話もよかったです。

中村 能三さん訳で、すべて古い字体でしたが段々慣れてくると普通のラノベのような感覚で
読めましたが、昼の旧字体と画の旧字体は似すぎているのでちょっと困りました。

・・・・・・・


モーム自身の分身は結局誰が一番近いのでしょうか。









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最終更新日  2014.07.24 23:26:28
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