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長押綴

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2015.04.12

「……ちょっとギャンブル行ってくるだけだから！さきっちょだけだから！」
「どんだけ豪気にかけられっか勝負だ！！」

「……あれは戻ってきませんね」
「同感です」

嵐のように男盗賊と女戦士が走り、つむじ風の如くカジノ場に吸い込まれていく様子を二人は半笑いで見ていた。

「では、今の内にまた行ってみますか？今度は二人きりで」
「えっ、いいんですか？」
「ええ。力試ししてみたいというのも本音なんでしょう？経験値は分担出来なくなりますが、今ならクエストが沢山きているのでそこまで怒られはしないでしょう」
「はっ…はい！」

……３時間後。

「ぜっ…ぜぇ…ぜぇ……」

「……大丈夫なの？特に僧侶くん」

「リセマラ唱え過ぎて疲れただけです…私より、男勇者君の方が大変でしたよ」
「本当にすみません……女主人さんも。……クエスト、失敗しました。…勇者の試練のときみたいに、また、生きて成功できませんでした」
「……仕方がないわよ、またこっちはチャレンジできるし。気にすることないのよ」
「こればっかりはリセマラでもどうにもならなくて…」
「次でいいわよ、次で」

リセマラ。それは現実改変の力を持つ奇跡の力である。

結局、二人で挑んだクエストで勇者は２回ほど死んでしまった。
リセマラのおかげでなんとか死なずに戻ってこられたのだ。

「…はい……」

お通夜のような雰囲気が、酒場の中心の席に漂っていた。

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