Laub🍃

Laub🍃

2016.08.26
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カテゴリ: ●映
 あらすじ:

 7年間誘拐犯によって、狭い「へや」に閉じ込められていた女性・ジョイ。
彼女にとって唯一の生きがいが、5歳になる、監禁生活の中でできた子供・ジャック。

 彼女の「世界」に戻る為。
 息子に「世界」を見せる為。

 彼女は息子と一緒にその部屋を脱出することを決意する。

 :あらすじ終わり:



以下ネタバレ注意:

「葉っぱよ!」

まるで「ガラスの仮面」ヘレン・ケラーの感動シーンのように、見ているこちらにまで生々しく伝わって来ました。


 案外、脱出シーンはそう長くなかったです。
 問題は、その後残るトラウマ。




 「へや」に「さよなら」を告げるシーンがとても印象的でした。
 女性にとって、「へや」は悪夢の場所。
 けれど「へや」は確かに、少年にとってはささやかな生活の場所で、思い出の場所、生まれ故郷でした。

 女性が、「どうして彼だけを出してあげなかったのですか」「そうしたら彼だけでも普通の生活を送れたのに」と言われ言葉を失ったのは、それほど彼女が聖人で居られなかったからでしょう。
 けれど、少年が「普通でない生活」でさえも名残惜しんでくれて、けれど何よりも聖人でない彼女との生活を心底愛おしく思っていたからこそ、彼女は聖人でなくても生きていくことができました。
 そうして少年が最後に別れを告げてくれたからこそ、憎い「へや」であっても、少年と女性ー「ママ」が一緒に過ごした日々自体には、少年の4歳までの生活には
楽しみや喜びもあったと思い返し、落ち着いてそこを眺めることができ、ほんとうに解放されたんじゃないかと思います。

「何で私だけ」


 しかし、最後までジョイのお父さんがジャックと向き合えていないのがリアルでやるせない……。この分だと、更に仕事に没頭してしまいそうな……。
 ジョイが父に対し、「この子を見て」ということは、ジョイの努力と守り抜いた宝物を見てと言うことと、認めてということとある種同義なのではないでしょうか。
 それに対し、ずっとジョイのサポート役と、ジャックにとって「大好き」たる人間であり続けたジョイの母、ジャックにとっての祖母。
 この二人の一番の違いは、自分の感情を、娘を傷付ける事少なく、それでもきちんと伝えられるか否かというところなんだと思います。

 そして、第三者として丁度いい距離をとりつつ、ナイスオブザーバーであり続けたジョイの父の友人と、女性警官の接し方もうまいなあと思いました。

 特に祖父友人という立場から、警戒心の強い獣を穏やかに、穏やかに呼び出していくさま。
 マスゴミにも、こういった穏やかさが欲しかったものですが……


 演技で言うと、少年役の子が凄かったです。不信感と、外の世界への好奇心と恐怖、いろいろなものが織り交ざった瞳。あと、「ママ」に対する反抗的な態度を取る時と、素直な時のギャップがもう…愛しい。可愛い。

 少女のような「魔力」に守られていた彼が、これからどう成長していくのか。
 母親と、周囲の人々と、どう歩んでいくのか。

 最後を締めくくった、静かで暗めな音楽は、
全てを背負って歩み出す希望と不安の世界を示しているように思えました。





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最終更新日  2016.09.27 07:54:54
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