Laub🍃

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2017.01.28
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カテゴリ: ●新書
アニメや漫画で見る、 こぼれ話集 番外4コ
こうしたこぼれ話の中のちょっとしたやりとりには、可愛くて面白くて、そして少し意地の悪い ブラックジョーク が含まれます。哀しみと笑いが同居するのが、この小さな世界です。

ホラー
コメディー
いやこれはまさかまさかの




それが




「墓参りに出かけ」

「先祖には先祖の  おとなにはおとなの  こどもにはこどもの

 世知辛い世界があることを思い」

…このすずの、少しすれば忘れてしまうような小さな世知辛い世界が舞台です。


以前は、大きな流れとして戦争の中ということを意識しながら 感想 を書きました。
けれど、今読み返すと小ネタがとても面白い。

↑こうした配給の日々のちっちゃな失敗笑い話、

神風(笑)、

帰ってきたお骨箱が「軽っ」「軽っ!?」「石じゃん!」
「こっちの石のが綺麗だからこっちにしときんさい」


「治るよ」という、…夕凪の国をどことなく連想させる点。

その中で「日常」を彼女は過ごします。  じょじょーゆーじょー。

そんな「普通」が、難しい毎日です。

幼い頃よく描いた海岸線を、大人になって描けばスパイ扱いされるような日々。

そんな中、海軍に入った幼馴染の水原さんが、久しぶりに主人公すずに会って言う



「当たり前の事で怒って当たり前の事で困りよる

 すずお前はほんまに普通の人じゃ」


「それこそしばらく見んけえたまげたわい」




下巻の彼の
「この世界で普通で まともであってくれ」


特別でなくても、多少は不公平でもいいから、普通でまともな小さな世界を守るための言葉です。


すずの敵機に対する
「ああうるさいねえ」

「そんとな暴力に屈するもんかね」


も、そうでしょう。



義姉さんの

「・・・ほいでも不しあわせとは違う

自分で選んだ道じゃけえね」


「そのてん周りの言いなりに知らん家へヨメに来て
言いなりに働いて」


「あんたの人生はさぞやつまらんじゃろ思うわ」


「じゃけえいつでも往にゃええ思うとった

 ここがイヤになったらね」



そんな流されてたどり着いた、紙切れのような人生でも、花びらのような幸せが詰まっています。



周作さんとの
「広島へ帰る!」
「おおそうか

 勝手にせえ」

「・・・・・・そういや白木リンの消息を知りたがっとったのう


 絶対教えたらん」


これらのやりとりは、皆ちっちゃな、「戦争の記録」からは消えてのうなるようなやりとりです。
けれど、それが彼らの運命を意味づけています。

映画版がどうなのかは知りませんが、これだけ小さな小さな世界へ、大きな大きなことを押し付けるものって、やっぱり幸せとは程遠いんじゃないかな、って思います。



「ああ」

「暴力で 従えとった いう事か」

「じゃけえ 暴力に 屈する いう事かね」


「それがこの国の正体かね」


「うちも知らんまま死にたかったなあ……」



ーすず、下巻より。


知らないまま死ぬことと、知って後悔すること。
どちらを選びたいかといったら、やっぱり小さな人間としては前者を選びたくなるんじゃないでしょうか。特に主人公である彼女は義姉の言うように、流され流されて、その中で少しずつ幸せを見付けて、ちょっとずつ踏み止まるような人間です。
そして気付いたら逃げられなくなっていたこの世界で、 照明が消えた 時彼女は隣の人の手を握り締めます。
けれど、その人の手もなかったら、どうなるのでしょう。どうするのでしょうか。
握る手がなかったら、どうなるのでしょう。どうするのでしょうか。


何を得て
何を失ったのか
分からない ー7SEEDS


軍拡はそんな世界を、押し付けることになるんじゃないかな、と思います。

広める側は、牙を抜くことを「 アホウドリ のようになる」ことだと言うかもしれませんが。

某●●●●●のように「命ひとつが武器」っていう相手を
「その武器を使わせず、殺さず」に説得したり、ひとまずおとなしくしてもらう…
それがこれからの課題じゃないのかな、って思います。
「殺す」は最終手段と定義づけた方がいいと思うんですがね…。文明の基本としての積み重ねが難しくなってしまいますから。(これもひとつの理想論ですが)

……敢えてリンクは控えますが、「不平等は暴力によって解消される!世界を平等にするのは革命などの危機だ!それと同じ!ペストや戦争も人口減らして職業増やすからみんな幸せ!みんな石器時代に戻ろうぜ!戦争薦めるわけじゃないけど戦争っぽいことは必要だと思うんだぜ!」っていう記事を某所で見かけて、……
(°v°)それ本末転倒やーん!!!って思いましたし。それもう全員が不幸になって平等になるっていう悪平等…RPGのラスボスの思想に近くありませんか……?(こうした理想を抱くよりは上記の理想論のほうが…と思いつつあります)
…幸せであることの重みを実感すべきとか、ある程度恵まれているからこそ富を還元すべきとか、そういうのは分かるんですが、積極的に負サイドに落ちるのは腑に落ちません。

「より多くの」積み重ねとまとめ直しと再拡散が大事。堅い言葉になりますが、これが一応のファイナルアンサーでしょう。 プライバシーVSマスゴミ系事案などはその限りではありませんが。
より多くの人が豊かになるために、不幸を感じる人を存在ごと抹消しないで、地道に生きてて良かったと思えるようにするために、極端な考え方だけじゃなくて、ちゃんと考え続けていくことが必要なんだと思います。瞬間的なぶつかりあいだけじゃなくて。

星新一の小説にも、
交渉と言う名の侵略するためにロケットを飛ばした地球人が豊かな星に出会い

地球人「あなた方の惑星はなぜこんなに繁栄したのですか?」
異星人「あなた方のように (侵略)ロケットなどを開発するエネルギー を、全て 繁栄と平和 の為に費やしたのです」

というやりとりがありました。


……日本がこれだけサブカルチャーが発展していることの理由に、
・情報が割りと自由に入ってきて、歴史を十分に学べること
・それをある程度弄っても憲兵さん来ないこと

と、アメリカの「表の自由の国」とは違って「裏(特にネット上)の自由の国」ができてることが
あるんじゃないでしょうか。

その分 ヤバイ人バイアス に支配されたりもするけど、けれど場所がなくなっても、また他のところに居場所を作りやすい世界でもあります。

唯一の縛りは、裏ゆえに「趣味」の範疇を出ないことでしょうか。
だからこそ、生計と思想を切り離すことが比較的容易いのでしょうが。

弄りすぎて最早半分ゲーム・漫画などの娯楽に組み入れられつつある戦争ものですが、それは「知って、三次元に持ち込まないようにする」為でもあるんじゃないかと思います。

……「もはや戦後ではない」

この言葉が、これから「今は戦前だ」「そして戦時中だ」にならないことを、祈ります。
みんなで平和を祈りましょう、これは不幸の手紙ではありません。

なんてね。

私が始めて聞いた「戦後●●年」というキーワードは、「戦後60年」でした。
引っ越す前のブラウン管テレビで、妙な音楽と共に聞いた記憶があります。

それが今では72年になりました。

戦争を知っている人や、実際に小さな不幸を経験した人たちにとっては、
戦後0年、10年、20年…そこからずっと歩んできた道のりでしょう。

私も、軍の看護婦をやっていた祖母の思い出し日記で肝油飴の話を読んで、
仰々しくて取り組みづらい戦争の翼の下に、沢山のこうしたこぼれ話があるのだなと実感しました。

そうして、それを知っている人たちは70歳に80歳に90歳になっていきます。
どんどんその記憶は薄れていきます。
小さくささやかな幸せ、ささやかな願い事、ささやかな後悔から消えてのうなります。


「そのひとには 永遠に届かない」

「できんようなら忘れてくれ」

「人が死んだら記憶ものうなる

 それはそれでゼイタクな事かも知れんよ」
ーこの世界の片隅に 下巻より

忘れていくのも、ひとつのあり方ではあります。

身近な例で言うと、オマージュ作品のほうがどんどん有名になりつつある○。○○ー
……そのように、 人魚姫が死なない残酷じゃない世界 、残酷でない聖戦としての戦争、
そういった意識で満たされた世界で残酷なものを「 知らんまま死ぬ 」ことが当たり前の日常が
やってくるかもしれません。

「地雷」「よろしい、ならば戦争だ」「殺す」
これらのワードが「犬の糞」「絶対に許さない、絶対にだ」「10発殴らせろ」という意味でお遊びとして使われているならともかく(私も使い勝手がよくて使ってしまうし)、本気で本来の意味が置き換わっていく日が来るのかもしれない。それはある意味平和の象徴でもあります。

けれど。
それだけならいいだろうけれど、
あの歴史はもう忘れた人のほうが多 くなった状況で

…… 意味が分かると怖い話 を、 意味が分からないまま読みつづける 日常を経て、

アリジゴクの巣のふちギリギリのところを歩いていると思っていたら、気付いたら終わりの来ない消耗戦へ転がり込む一歩を踏み出していないか。

似たような立場の主人公少年D同士、殺しあってはいないか。

暴力の日常、奪い合いの日常、疑い合いの日常。

女子の国はいつも戦争状態が怖くて ぼっち充 してる私からしても、女子の国どころか世界中がこれになってたらホラーサスペンスってレベルじゃありませんよ。
コナンくんと金田一が泊まりに来てるのに危機感のない宿屋みたいなもんですよ。(よりにもよってこんな時に…)ってよりにもよってこんな時に事件起こそうとしてる捕まる気満々の犯人みたいなもんですよ。

知らないことは幸せかもしれませんが、知らないことで無自覚で不幸せになったり、恨みを買うことはあるんじゃないでしょうか。

知らない世界が醸成されている最近の情勢の中で映画版がどういう風に編集・改変されてるのか分からないのがちょっと怖いですね。
アニメはほとんどイメージ通りだったのですが、映画はちょっと…監督が結構改変してしまう例をよく聞くので……。

原作の雰囲気や言い回し、小さな生活と小さな恋のうたが好きなので、
映画によって印象が上書きされちゃうのが怖い気持ちが少しあります。

そんな私が言うのも難ですが。
…映画版だけを見て、なんだかしっくり来なかった人は、是非
この世界の片隅に こうの史代 も読んでください。
漫画・小話の集まり・図書館にもあるということで、読書が苦手な方にも取り組みやすいかと思います。

歴史が何の為にあるのか。
だめな事を繰り返さないようにするためじゃないのかな。





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最終更新日  2017.01.28 18:15:02コメント(0) | コメントを書く


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