Laub🍃

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2019.11.19
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カテゴリ: .1次小
むかしむかし、あるところに、おひめさまがおりました。

お姫様は色々あって人間不信になり、洞窟の奥に住む地の魔女に石像にしてもらいました。
その時、心配をかけている両親のために、宮殿に泥人形の姫を送ってもらいました。

泥人形の姫の体には地の魔女が魔法をかけた宝石が幾つか埋まっていました。
にせものであると地の魔女以外にはけして悟らせぬ魔法です。
なので、何もなければそのまま、彼女は年老いて棺の中砕けて終わるはずでした。

けれど。
水の魔王が近くの水源を呪いで汚染したので、彼女以外の王侯貴族と軍人はみな、ものおもう木にされてしまいました。
地の魔女の魔法のおかげで呪いを受けずに済んだ姫は、水の魔王に侵略されないよう、周辺の傭兵に声を掛けました。これが失敗のもとでした。


姫に騎士として仕えると言っていた傭兵頭も、姫を妹か玩具のように弄り倒す傭兵頭も、どちらも姫を味方につけることで自身の正当性を確保しようとしてきます。

姫がどうすればいいか分からなくなっている時、騎士を名乗る傭兵頭の妻は夫を惑わす女として姫を斬り殺しにかかりました。

姫はすっぱりと二分され、妻はそのまま震えながら帰って眠りにつきました。


泥人形の姫は、宝石を割られずにすっぱり綺麗に切られたので、二分して生まれ変わることができました。
姫は自分が泥人形であり、身代わりでしかないことを分かっていましたが、王国の皆の為に死ぬわけにはいかないと強く思ってもいました。
姫は少し小さな体で蘇りましたが、近くにあった泥の温泉に体を沈めれば、またたくまに回復しました。
この泥はあの洞窟の地脈から流れているもので、あらゆる生物を回復させる効果がありましたが、特に泥人形の姫にはうってつけでした。

蘇った姫を騎士の妻は化け物と罵り何度も殺しましたが、そのことを騎士には告げていませんでした。騎士に嫌われたくなかったからです。なので騎士からすれば妻が毎日のように姫に当たり、そうして怯える様子しかわかりませんでした。

姫はふたつに分かれたのをこれ幸いとして、実は自分たちは双子であったのだと、片割れは影武者をしていたのだと言い、二手にわかれて傭兵頭のもとに嫁ぐことにしました。

*****


傭兵頭は長年くらすうち、山の向こうのあいつさえ居なければ自分たちはもっと豊かになるのにと思いました。

そのため自分たちの周りにモンスターや戦火が来る度互いに押し付け合いました。

二つの領土にはそれぞれに御神木が生えていました。
この国がもともとひとつのものであるという大事な証拠です。

けれどどちらの元傭兵頭も相手に呑み込まれるくらいなら自害したいと思っていました。

隣にある御神木を斬り倒せば自分だけが正当な後継になるのではないかと思いーーーーそうして、仕掛け続けました。





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最終更新日  2020.11.24 21:15:18
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