Laub🍃

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2019.11.26
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俺が虐めた末に追い詰めて心と体を壊してしまった彼は、今日も俺を見詰めている。

「君がどんなに粗暴でも、周りの人とぶつかっても、僕だけは傍に居るから」

むかしむかし少しはにかんだように笑っていた彼は、もはやそんな面影などかけらもない機械のような無表情でこちらを見詰めてくる。

「あっちいけよ」
「君がどんなに欠けても、苦しくても、助けるよ。
 だって君はいつも誰よりも自分で自分を追い詰めているから、放っておけないんだ」

「俺はそんなの頼んでない!」

「僕にできることはそれくらいだから。痛覚もなにもなくなった僕だからこそできることだから」

ああ、こいつのこういうところが本当に大嫌いだ。

まるで神話に出てくる超然とした神様のように傲慢なそいつの前に立つといつも俺はちっぽけになったような気持ちにされる。

******


いつでも彼を助けることができる体になったのは不幸中の幸いというものだろう。

僕は誰かの為に頑張っている時でないと自分の生きる意味が分からなかった。
だから神様のように気まぐれで強引な彼について行ったり言うことを聞いたり時には少しだけは向ってみているときだけは生きている気がしたのだ。

僕の神様は今日も僕を拒むけれど、それでも逃げ出しはしない。





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最終更新日  2020.11.29 20:38:39
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