Laub🍃

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2022.01.22
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カテゴリ: 👹鬼滅
人生というものはなす術もなく望まずとも与えられ飲み下さねばならぬものであると童磨は理解していた。人の頃よりそうだった。


なのでそんなどうしようもなく与えられる人生で更に不自由不条理に涙するくらいならば死んだ方が楽になれる、という道理もまた彼にとり当然であった。


死にたいのに無様に生きなければならない者には欲か使命があった。
欲と使命というのは人を生に縛り付ける枷であった。
欲は己のためで、使命は他人のための枷である。

童磨もまたそれに縛られていた。
もっとも彼の場合は欲が枯れていたので使命にではあるが。

ー無惨により食欲を突き動かされて初めて、彼は彼自身のために動けた。
初めて、飲み下すものを心の底から欲した。乾きが癒える美味なる甘露は、彼が使命を果たすことよりもずっと彼の存在を確かにした。




そう気付いた童磨は、汚れた口でにかにかと、子供のように笑った。





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最終更新日  2023.01.26 21:44:16
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