Laub🍃

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2024.11.04
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カテゴリ: .1次長
神獣を率いた戦により、反乱軍を鎮圧した女王。
 それから三日後。
 女王の姿をした呪術師は、玉座の間で静かに息を引き取った。
 その死は、毒殺とも、呪詛返しとも噂されたが、真相は、民たちにはわからないままだった。

 本物の女王、トワールは、呪術師の姿のまま、地下牢に幽閉されていた。
「謀反人として処刑される」その日、老宰相が密かに牢を訪れる。

「……女王陛下。ようやく、真実をお伝えできます」
「……何の冗談だ。私は女王ではないと、貴様らが言ったのだろう」
「あれは、呪術師殿の遺言です。“真実を明かすのは、私が死んだ後に”と」


 そこには、呪術師ーティセリの筆跡でこう綴られていた。

「女王様。あなたが神獣と交わした契約の代償は、国の統一と引き換えの死。
私はそれを夢で視ました。
ですが、あなたには言えなかった。
あなたは、死を恐れずに進む方だから。
だから私は、あなたの姿を借りて、あなたの死を引き受けました。
どうか、どんな姿でも、生きてください。
私を憎んでくださって構いません。
それでも、私はあなたを守りたかったのです」

女王は、震える手で文を握りしめる。
あの夜、呪術師が見せた冷たい微笑。

あれは、偽りの仮面だったのだ。

「……なぜ、言わなかった。なぜ、私に選ばせなかった……!」

涙が、呪術師の頬を伝う。
だがその涙は、もはや誰のものなのか、わからなかった。





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最終更新日  2025.10.26 15:17:14
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