三つ子のお姫様

三つ子のお姫様

生後4~5ヶ月(2)



【生後4ヶ月~5ヶ月(入院中)】

3人が入院したのは総合病院の小児科。
冬の時期だったので病院も混んではいたが、3人は同じ部屋で並んで寝ていた。
治療の基本は点滴、絶飲食にしてお腹を休ませるとのこと。
点滴してもらって子供たちの様子が少し良くなったので私たちも落ち着いた。
とにかく病院に着いた時には私の方もフラフラで倒れそうだったから・・
この病院は完全看護ということなので、私たちは一旦帰宅した。
時間は深夜0時近くになっていた。

そして次の日からは毎日の病院通いが始まった。
病院までは車で1時間ほど。
道が混んでいるとそれ以上かかる。
自分が通うとなるとかなり面倒に思うのだろうが、
子供が向こうにいると思うとそんなものもちっとも苦にならず
私は毎日子供たちに会いに行った。
小児科の雰囲気は普通の病棟とはかなり違う。
何となく家庭的だしプレイルームなどもあり、
あちこちから子供の元気な声が聞こえてくる。
病院という感じがあまりしなくて最初のうちは
「明るくていいなぁ。」などと思っていた。
でも、何日も通ううち時々廊下から、
重症の子が人工呼吸器など着けているのを見るようになると
悲しい気持ちになった。

3人は1日目、2日目は寝ていることが多かった。
具合が悪いためかグズる力もない様子で、時々誰かが泣くが抱っこしてあげてすぐ寝付いてしまう。
点滴の周りに包帯がまかれ、足にはモニターが着けられ痛々しい姿だ。
お腹はすっかりへこんでしまい、小さい体がまた一段と小さく見えた。
NICUを退院して2ヶ月、
私の方は疲れてしまっていたけど、3人は少しずつ大きくなっていた。
それなのにたった何日かでこんなにやつれてしまうなんて・・
「せっかく大きくなってきたとこだったのになぁ。」と涙が出てきた。

この頃私はすっかり育児に自信を失くしていたように思う。
がんばって3人育てていこうと決心したはずなのに、
こんなに小さい3人が無事に育つのか本当に心配になっていた。
2ヶ月違いで生まれている従姉は丸々と大きく見え、
あやすとうれしそうに笑い、首もしっかりとしているし
何も特別なことしなくても毎日よく飲んでよく眠る。
それに比べてうちの3人は小さくて弱くて、 ちょっとした病気にも耐えられないように見えた。
三つ子だから・・未熟児だったから・・分かり切っていた事だけど
実際に始まってみると何とも言えない不安感だった。
私の「産む」という選択は本当に間違っていなかった?
小さく産んだことでずっとずっと苦労を引きずることになるんじゃない?
それで3人は幸せなの?
何度も何度も頭の中をそんな考えがめぐっていた。

3日目になると症状は大分良くなり、一の姫はミルクが飲めるようになった。
1日6回、6時、9時、12時、3時、6時、9時。
夜9時から翌朝6時までは時間が空く。
大丈夫か心配したけど、看護婦さんに聞いたら
「大丈夫ですよ。夜は良く寝ています。」と言っていた。
ミルクが出てこないと分かると泣いてもまた寝ている様子。
子供なりに適応するものだ。
4日目に二の姫がミルク開始。
5日目に三の姫がミルク開始。
飲み始めると3人は少しずつ元気もでてきてよく泣くので、
私はベッドを行ったり来たりしながら3人順番に抱っこしていた。
1週間で一の姫が退院した。
また、母に一の姫を預けて病院に通うことになった。
入院時に脱水の症状が重かった二の姫、三の姫は更に1週間入院し、
2週間目で退院できた。




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