4、傷


夕焼けの中、赤く染まる時間帯の中、母さんはイスに腰掛けて自分の顔を隠しながら泣いていた。
「あっ、輝一」
「どうしたの?」と、輝一が覗きこむように母親の顔を心配そうに見ると、ぎゅっと抱きしめられた。
「母さん?」
どうしたの、と輝一は不思議そうな顔をした。
「何でも無い・・何でも無いから・・」
輝一がふとテーブルを見ると1枚の写真があった。
瓜2つの2歳くらいの赤ん坊が同じ布団で身を寄せて寝ている姿が映っていた。
・・そっかっ。
「―母さん、オレ、お腹すいたな」
「あら、そう?じゃあ、今すぐ夕飯の用意するわね」
「うんっ」
輝一は子供らしい笑顔を見せた。
――双子の弟、輝ニか。
父さんと新しいお母さんと大きな家に住んでて、庭もあってペットも飼ってて・・。
普通の子供として一様の条件はそろってるんだよな。
ちくん。
あっ、今・・オレ、嫌な子供になってた。自分の弟に一瞬だけ嫉妬してた。
何よりも愛しく感じるはずなのに・・・・!

「オレさ、輝ニの事最初嫌いだったんだ」
「・・・・え?」
それを聞いた輝ニがひどく落胆した表情を見せた。
「何だよ、いきなり・・」
「―何で、輝ニだけ父さんといられて新しいお母さんもいるのかなって。ちょっと、ひどいよな。事情も知らない奴にそんな事を思われちゃ」
「・・いや、そんな事は無いと思う。そう思うのは自然だ」
「・・ありがとう、輝ニ。・・でさ、オレそれ以外の事でも我慢しててさ心の中でどんどん傷が出来て行くの感じてたんだ。だからさ、いいかな?輝ニ」
「な、何だ、言ってみろ」
「今日さ、一緒に寝てみないか?兄弟水入らずでさ」
それを聞いた輝ニがあっという間に顔を真っ赤にした。
「・・え、あ、ああ・・。いいぞ」
―輝一と・・・・。
「・・・」
「輝ニ?」
ぱたり。
「わ――っ!!輝ニ!?どうしたんだよ!」

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