041 いじめ


本当は盗んだんじゃないか、という疑いの声が視線と一緒に彼方の中にすんなりと入ってきた。
担任の机の上には、クラスメイトの給食袋があった。
「―してません。僕、そんなの今日始めてみました」
「でも、委員長の高石君が君が職員室から給食袋をごそごそと取り出してるのを見たって・・」
わざとらしい。
言葉は丁寧にしてるけど、こいつ、僕よりおやさしくて信頼もある委員長の方を信じていたいんだ。僕が犯人でいて欲しいんだろうか。
「―今日、職員室に入ったのは先生で呼び出されるので始めてなんだけど。先生は僕を疑うんですか?」
僕はその年頃の子供らしく、顔を隠して、涙ぐんでみた。
「僕、先生のこと信頼してるのに・・・」
「いや、別にそんな事はないが・・・」
想像した通りの反応だな。やっぱり、これ効果あるんだな・・。
彼方は微かに笑みを浮かべた。
そこへ、見かけは体育系の音楽の薫先生が入ってきた。

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