ケルトの夢

ケルトの夢

パヒューム



世界的ベストセラーの「驚異の映像化」

観て来ました~

映像が素晴らしいと聞いていたのと、たまたま今日お会いした方が、私がその後映画館に行くつもりとはご存じなくて、観てください、と話されたので。
そういう流れには乗るほうなので、幾つかの候補からこれにしました。

脳が痺れましたよ~

ものすごく感覚的な映画です。
謎解きやサスペンスや猟奇趣味に期待すると、すごく肩透かしだと思います。



題名にある通り、主人公は人殺しをするわけです。
異能な人が、アートを極めるとはこういうことか、という感じ。
そもそも匂いの世界を文章で表現した原作がすごいですが、匂いを映像で表しちゃうから見事です。

18世紀パリのくすんで雑駁な雰囲気の中で、匂いの対象は、すごく鮮やかに目に飛び込んでくるんです。

主人公が、匂いを探索するシーン。
物心ついてから初めて町の雑踏に出た彼は、「いい匂い」も「悪い匂い」もなく記憶にコレクションしていくのだけど、だからグロい映像も色々ありなのですが、「価値判断しない」という主人公の姿勢そのままに、存在ありのまま、という感じで、それほど嫌悪感なかったです。

主人公が心惹かれた匂い。プラム売りの少女のうなじは、本当に香ってくるように白さと赤い髪が光り輝く。

クライマックスの話題のシーンは、宗教画のようでした。

観るのだったら、映画館が絶対にお勧めな作品です。

主役のベン・ウィショーは魅力的な役者さんですね。
そして、乙女たちがすごく可愛い。

落ち目の調合師演じるダスティン・ホフマンはおもしろい役どころ。
娘を必死に殺されまいとする父親にアラン・リックマン。

勧めてくれた方は、20年前に原作を読んで、これを映画に出来たらすごい、と思ったのだそうです。
そして『マリー・アントワネット』の映画化で、同じ18世紀フランスが舞台のこの作品を20年ぶりに思い出したら、奇しくも映画化されていた、ということでした。

原作はドイツ語です。

観るのだったら、絶対映画館がお勧め。
万人にお勧めできる映画ではないです。


<この先、ちょっとネタバレ>


少女にただただ近づき、匂いをかぎたかった彼は、誤って彼女を殺してしまう。
そして失われていく匂いに身を切られるような思いをして、匂いを保存する方法を追い求める。

その先は、ひたすら匂いの保存を追及して、乙女たちを殺してエッセンシャルオイルをコレクションしていく。
とんでもない人殺し、連続猟奇殺人なわけだけど、今よりずっと人間が大切にされていない時代。
市場の魚売りの母に、屋台の下で産み落とされ、魚のアラと一緒に川に流される運命だった彼は、泣き声で自分の命と引き換えに母を絞首台に送っちゃう…
なめし職人に売られてしまう彼は、生まれた時から人に慈しまれたことなどないわけで。
最後に狙われる裕福な商人の娘は、父親が大切に大切にしているのだけど、殺人の魔の手から逃げられたとしても、好きでもない侯爵にムリムリ嫁入りさせられるのなら、どちらの運命だって死んだようなもの…

彼は、究極の香水を創り上げたが、自分の求めているものが何だったかに気づいた時、涙を流す。

何なのかな?こうして書いてみると、作者の表現したかったものが、おぼろげに見えてくるような気がします。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: