バラナシ★Part1






++++ バラナシ★Part1 ++++




同じコンパートメントのインド人家族、
同じ戦地を戦った日本人の女の子と一緒に
この電車に乗ったら必ず一人は荷物を盗まれる人を見掛けると
言われている悪名高いヴァラナシ行きの列車を楽しく終える事が出来た。



ヴァラナシ駅を降りたのはもうサンセットも間近の夕方。
今日は暖かいシャワーを浴びて良いベッドでぐっすりと眠りたいと
列車で会った日本人の女の子、Iちゃんは言うので
お金をシェアしてダブルの部屋を取ることにした。



ダブルルームで650ルピー(約1500円位)。
Iちゃんは「今日くらい贅沢しても良いですよねー」なんて嬉しそう。
南ではこの倍の値段のホテルに毎日泊まっていたなんて
ちょっと言えない雰囲気・・・・




次の日彼女は一泊200円位の宿を捜して移ると言う。
私は同じホテルのシングルルームに移ることにした。




さて、ヴァラナシといえば有名なガンジス川。
ヒンドゥー教の聖地でこの地で死ぬことを望んで
死期が近づいた老人たちがこの地を目指して旅をしてくると
言われるほどこの地はヒンドゥー教徒にとって大切な場所だそうだ。




私はどうせ汚いただのドブ川のような川なんだろうぐらいにしか
思っていなかったのだが、朝ガンジス川沿いを散歩したら
なんとも言えない神々しさをその地から感じた。

サドゥー
=川で暮らすサドゥー=




朝、皆真剣な顔で水に浸かり沐浴をしている。
きれいにデコレーションされたカラフルな花で出来たお供え物を
川に流している人、お経を唱えている人、
川の中で祈っている人などさまざまな光景だ。

川と子供
=沐浴を終えた子供達=




朝の涼しい時間のガンジス川ほとりは話に聞いていた悪名高い
ヴァラナシの雰囲気はなく、とても清らかな気持ちにさせてくれる場所だった。




一旦宿に戻り朝食を食べた後、
昼のガンジス川を見に再び川へと繰り出す。
ダシャーシュワメードガートという
一番賑やかなガート(階段状の沐浴場)をめざし川沿いを歩く。

犬と川




朝の神々しい雰囲気とはうって変わって物売りたちに囲まれる。
ヴァラナシの物売りは結構しつこい。




「マダーム、ボート?ガンジャ?ハシシ?ポストカード?」





うるさーい!!!!
“No”と言っても10m位はずーっと付いてくる。
こっちも必然的に怒ったような口調で 「No!!!」と
強く言わざるを得ない。




自分の父親よりも年上のおじいさんのような人に
そんな口調をするのは少しためらわれるのだが、
そうでもしないと離れてくれないのだ。

牛
=牛も沐浴=




ようやく目的のダシャーシュワメードガートへ到着した。
お供えの花を売っている人、マッサージをする人、
眉間にビンディーといわれる赤いマークをつけてくれる人等など
さまざまな商売が繰り広げられている。




階段状の沐浴場に腰掛けてそれらの光景を静かに
眺めていたいところなのだが、静かにさせてくれないのが観光地のインドだ。




座っていたら川に流すお供えの花を売っている10歳位の子供が近
づいてきた。

「お花どう?お供え・・・」




最初は“No”と言っていたのだが、
亡くなった自分の家族や友達を思って川に流すと
供養が出来るとか何とか言っている。





実は私供養したい人が一人いて、
日本で今度写経にでも行こうと思っていた。
お花は一つ5ルピー(13円位)だというので一つ買ってあげることにした。




一つで良いって言っているのに彼女は3つも火をつけてしまったが
安いしまぁいいか・・・
川に流れていく火のついた花に手を合わせて祈りをささげる。




商売をし終えた彼女は金をくれと言っているが
この可愛らしい女の子とちょっと話がしたくなった。
まぁまぁ、お金はちゃんと払うからと彼女を隣に座らせて話を始めた。




「学校には行っているのか」と聞くと
ちょっと怒ったような顔になり不機嫌になった。
気の強い生意気そうな女の子だけど所詮子供なんだよなー。
頭をなでると一瞬心を許しそうな顔をするが、
周りを気にしてまた唇をキリリと引き締める。




こんな幼い子供に学校も行かせないで仕事をさせるなんて・・・
インドの政府に怒りを覚えそうになる。
近くのチャイ屋さんで一緒にチャイを飲もうと彼女を誘い
並んでチャイを飲んだ。




インド人も何人かワラワラと寄ってきてそのチャイ屋さんは
宴会場のようになってしまった。
彼女にお花のお金を20ルピー払うと彼女はお礼にガムをくれた。
心を開いてくれたようで嬉しくてにっこり笑ってお別れをする。




そのチャイ屋さんにその後20分位いただろうか・・・
突然全身の血がガーンと下がるような感覚になった。
頭がボーっとする。






睡眠薬? さっきのガム? チャイ???





予備知識本で見た睡眠薬強盗の記事が頭をぐるぐるとよぎる。
とっさにガムを吐き出し、一緒にチャイを飲んでいたインド人を罵倒する。




「私に何をしたのよ!!!!」





パスポートも全財産も航空券も皆このウエストポーチの中だ・・・
頭の中がパニックになってくる。
早く宿に帰らなきゃ・・・・
宿からはこの炎天下の中結構歩いてきた。




リキシャ??でもリキシャの上で眠ってしまったら???




ボーっとした頭で混乱しながらいろいろ考えていると

「Are you OK??」 と白人のカップルが声をかけてきてくれた。



いきさつを説明し、眠ってしまっても危ないことが無いように
しばらく側に一緒にいてほしいとお願いすると
快く引き受けてくれ彼の持っているお水やジュースを飲ませてくれる。




やけに喉が渇く。
喉が張り付きそうなほどカラッカラだ。
頭はボヤンボヤンするもののそれ以上何も起こらないところを見ると
大麻入りのガムかチャイを口にしてしまったようだ。




一緒にいてくれたイギリス人の男性とオーストラリア人の女性の
カップルは本当に良い人で泣きじゃくる私をパニックにならないように
いろいろ話し掛けてくれ、ホテルまで送ってくれた。





ホテルのレストランでも一緒に食事をし
明後日一緒にお寺を観光する約束までするほど
仲良くなることも出来た。




お花売りの彼女の仕業だったのか、
日本語が妙にうまいチャイ屋の男の仕業だったのか
はたまた何か他の所から何かを口にしてしまったのかはわからないが
あんなに恐い思いをしたにもかかわらず
まだインドを嫌いになれない自分もいる。



(このイギリス人の男性はお花屋の彼女のお礼の気持ち
だったんじゃないの?なんてジョークで言っていたけれど 笑)




この事があって、日本や仏教、お寺にとても興味のある
本当に素敵なカップルに出会えたことも確かだ。



インドの子供たち、たくましく育ってほしいな。
人を傷付けるってことはどういう事なのか、
泣いている私を見て何かを感じてくれただろうか?

インドの政府、もう少しこの貧困層の子供たちの事を真剣に考えてほしい。
学校は義務教育だが、生活費を稼ぐ事の方が
貧しい人たちにとっては勉学より大切だ。



この純粋でパワフルな国。
嫌な思いをたくさんしてもやっぱり興味深い面白い国だ。





でも、これからヴァラナシ、インドに行く人、
見知らぬ人からの食べ物は本当に気をつけてね!!


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