出産2









病院に着き診察をしてもらうと子宮口は3cm開いているとの事。
「まだまだ時間がかかりそうだねー、階段上り下りしてきて」
階段の上り下りは陣痛を促すには効果的なのだそう。




5分に一度襲ってくる痛みに「っく~・・・」と耐えながら階段を何往復もする。
「学生時代入っていたレスリング部を思い出すよー」
そう言いながら暑い中旦那も汗だくになりながら付き合ってくれた。




・・・とはいえただひたすら階段を往復してるのってつまらない。
このクリニックがあるのは都心の真ん中のトレンディーと言われる街の一角。
階段の上り下りはやめて外に散歩に行くことにした。
あいにく外は小雨が降っていたが、傘を差してのお散歩。





やっぱり途中キューっとお腹を締め付けられるような陣痛が襲ってくる。
膝に手を当てて中腰になりながら雨の中痛みをこらえているスイカのようなお腹をした女はそれはそれは異様な光景だっただろう。

「あなた大丈夫???病院に行ったほうがいいんじゃない?」
道行くおばさんに声をかけられた。




「大丈夫です。今病院から散歩するようにと追い出されてきたんです」
というとおばさん、怪訝な顔をしていた。






体が冷えてきたのでカフェに入ってお茶なんぞも楽しんだりした。
お茶を飲みながら時折ぐぐぅ~・・・と痛みをこらえている私をカフェのお姉さんも遠巻きにチラチラ見ていた。






病院に戻り子宮口をチェックしてもらうもまだ4cmしか開いていないという。
あれだけ動いてまだ1cmしか大きくなってないの????
夜中にたたき起こされた旦那はもうこの時点でギブアップ。
旦那が昼寝をしている間、私はまた一人で階段へ。
このときすでに夕方の5時。






その後、これまた陣痛を促すと言われる浣腸をしてもらうも、なかなか有効な陣痛がやってこない。
それどころか陣痛の間隔が段々と長くなってきているような気がする。
前日の夜中の3時から痛みと戦っている私は段々と体力がなくなってきた。





「今日は一旦お休みをして翌日またがんばりましょう」
と胎児に影響が無い睡眠薬を渡される。
薬を飲むのは嫌だったけれど、この痛みでは眠れそうに無い。
この日は仕方なく薬を飲んで寝ることにした。





・・・ところが夜中の1時ごろ、お腹をフォークで刺される夢を見て目を覚ます。
陣痛が段々と強くなってきた。
この時役に立ったのが 野口整体 の活元運動。
陣痛に耐えながら上半身をぐるぐると回す。
真っ暗な部屋の中、時折低い声でウウウウぅーっと唸りながら体をぐるぐると回している私。
かなり不気味な姿だったに違いない。






旦那は横で熟睡しているし、夜中で病院は静まり返っているしで、結局朝まで真っ暗な部屋の中で一人で陣痛に耐えた。
心細かった。






一睡も出来ないまま朝になり内診をしてもらうと子宮口はなんと全開に開いていた。
・・・にもかかわらず赤ちゃんは一向に下がってきていないという。
心拍を調べると段々弱ってきているなどと怖いことも言われた。






このままだと胎児に危険を及ぼす可能性があるので陣痛促進剤でお産を促しますが良いですか?
ドクターに確認を求められる。





和室の部屋でフリースタイルのお産。
陣痛促進剤、吸引、会陰切開等の医療介入は一切行わない。

これが私が望んでいたお産のスタイル。
それが出来る数少ないクリニックという理由で家から離れたこのクリニックを選んだのだった。
なのに・・・・・なのにー・・・・・っ





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