エレファントピア

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シンガポール人と働く

シンガポール人と働く

日系企業で翻訳のバイトをしています。
そこで観察した日本人とシンガポール人の働き方の違いや、
お互いに尊敬しているところ、嫌だな~と思っているところなど。



お返事byミャンマー人vs.シンガポール人

ミャンマーにいた時、事務所の代表(代理)をしていたので、ミャンマー人スタッフの仕事をスーパーバイズする立場にありました。

そこで時々困ったのが、
「これをいつまでにやっておいてください。」
とお願いすると、必ず、

はい!

と、いいお返事がもらえてしまう事です。

いいお返事はいいことです。

でも、できようができまいが、最初からできないことが分かっていながらも「 はい! 」と言われるのはやっぱり困る…。

特に外国人のスーパーバイザー(=私)が、ミャンマーという国や環境や社会のコンテンツをよく理解しないままにお仕事を進めようとする場合もあるわけで、そんな時は、これこれこういう理由でムリかもよん。時間がかかるかもよん。と正直に言ってもらいたいのう…と思っていました。

「どうしてできないことが分かっているのに、言ってくれなかったの?」と聞くと、「悪いと思って」「失礼かと思って…」とのお返事。気を遣ってくれるのはありがたいが、これは仕事だ~~(TT)

「どうして『失礼』だと思っちゃうんだろう?」という質問には、「私たちは目上の人に異を唱える事になれていないから。」「そういうことはしちゃいけないと教わってきた。」「公務員だったから」(←上司(軍人)には絶対Noとは言えない世界)
とのお返事…ひゅる~~(TT)

でもまあ、時々困りもしましたが、私はこういうのんびりちゃんなミャンマー人たちがけっこう好きでした。

時間が経って、人間関係が安定してくると、皆普通にNoもYesも言ってくれるようになってきた(と思う)から、馴れもあるのだな。と感じました。





さて翻ってシンガポール。

私は今、こそこそすみっこで翻訳バイトをしていますが、
後の席でよく男性上司が女性のスタッフに仕事を頼んでいます。
曰く、

「これやっといて」
イヤよ!!

「これ間違ってたよ」
あたしが悪いんじゃない!!


…(TT) こええ。
この2人は歳も近そうなので、友達感覚もあるのかもしれませんが、それにしても連日交わされるこの攻防。(というか、上司負けっぱなし…)ありなのか?これってアリなのか??
この女性は一体何者なのか?強い…強すぎる…。

まあ、彼女は極端な例としても、シンガの傾向としては

「やりません」
「できません」

ということを前面に出しつつ労働交渉(?)するのが基本的なスタイルのように感じます。

例えば日本から来た出張者の方が、
「こうこうこういう理由で、これこれこうしなければいけないので、これをしましょう」
と言っても、まず、一筋縄では動きません。

彼らが怠け者だとか、能力がないという訳ではなくて、とにかく一筋縄では動かないのです。
理由は今、観察中です。(人様の会社で…)



所が変われば、本当に人も働き方も変わります。
でもまあ、最強最恐の労働者は日本人かもしれませんが~


(2004年7月1日)


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NPO/NGOとシンガポール

今となってはお気楽兼業主婦生活を謳歌することに心血を注いでいるわたくしですが、シンガポールに来た頃は前の職業に未練タラタラで仕方ありませんでした。

前の仕事はいわゆるNGO(非政府団体)で、日本では特に海外開発や緊急援助を行うNPO(非営利組織)をこう呼んでいるようです。

結婚した当初マリッジブルーで青々としながら、しつこくもシンガポールで前キャリアにこだわり就職活動をしたところ、以下のことが分かりました。

シンガポールには やっぱり NGOってほとんどないのね…

ない理由。
1.土壌がない。
市民活動的土壌とでも申しましょうか。
でもこれは逆に言うと、(国内的には)政府が適度に市民生活をサポートしているということかもしれません。だから「政府がしないこと、できないこと、(でも本来は政府がやるようなこと)を行う非政府団体が いらない のかもしれません。

また海外への援助活動という観点から、なぜにNGOが(少)ないのかというと、シンガポール人の現実主義と自助精神が関係しているように思います。

来た当初、「ミャンマルでこんな仕事してました~~」というと、だいたい10人中9.5人がポカ~ン(゜д゜)って感じで、(日本の場合は10人中6人くらいか?)まず出てくる質問が、
「お金はどっから出てくるの?」
でした。大体全員そう聞いてくる。(日本人の場合、「あらあそれはそれはボランティアご苦労さま」という…。スミマセン。ボランティアじゃないんですー)

最初は面食らっていた私ですが、よくよく考えるとこんなに根本的な質問はありません。善意でものごと動くなら苦労はしない。まずは資本、元手、Capitalが必要なわけです。
この辺のことは、シンガポール人から学ぶことはたくさんあります。でもまあそういう人たちなので、NGOなんて割に合わないことはしないわけです。

建国36年でここまで来た国ですから、他国(アジア)に対してもシビア。「貧しい?自助が足りないんだろ?」って感じ。(ホンマかいな)


2.宗教に吸収されている
人の善意や援助行為というものは、もともとは宗教、例えばキリスト教のチャリティなどを通して行われてきました。ここシンガポールでもキリスト教、仏教、ムスリムを通してのチャリティ活動は盛んです。NPOとかなんとかフクザツな形態をとる以前に、人々の善意エネルギーはそういう所に吸収されているようです。(だから仕事として発生しないんだよ~ん)



3.やっぱ政府がようコントロールしている
1.の土壌とも重なりますが。例えば私が3回受けて3回とも落ちたシンガポール唯一にして最大のNGOなどは、政府半轄です。Non(非)じゃないじゃん!!

さらにシンガにはこうしたエセNGO(財)もたいへん少ない。日本が多すぎるのかもしれませんが。そして国庫を食いつぶしているといふ…

(ない理由の他、落ちる理由としては、英語がトロいとか中国語がしゃべれないとかいろいろあります。)


結論。
シンガポールで、いわゆる日本やヨーロッパでいうところのNGO、もしくはNPOは極小なのは、政府も国民もその存在を必要としていないから。

政府:日本みたいに戦後賠償の延長で国益保持しなくていい。
国民:日本みたいに「自己実現しないヤツはダメ」みたいな考え方がないからわざわざ国外まで自分探しにいかなくてもいい。


…なんだかまとまりのない物言いになってきました。


しかし。
なんでまたこんなことを書き始めたのかというと、今日、新聞の一面にこんな記事がっ!→→→


S'pore woos non-progit organizations
(シンガポール、NPOに「こっち来て~来て来て来て~~んvv」とラブコール(意訳))

つまり国際的なNPOにシンガポールでの出店を願っているわけです。なんでこんなシンガらしからぬ行いを!?と思ったら、

「いや~NPOって、すっげえいい商売だしな?」 (by 経済開発庁)

どうやら国際NPOを誘致することについての経済効果に気付いた模様です。
国際会議やるだけで1千万ドル落としていくリッチなNPOもあるらしいですからね。さらに出店ともなればテナントも出る、雇用も拡がる。シンガの安全と通輸と通信環境は売りになる。

そんなわけで今後シンガでは、(相変わらず)政府主導の元、海外NPOセクターへのてこ入れが始まるようです。

化学工業→IT→…と来て、まさかお次がNPOになるとは…
(ああ、そして私にも職を…)


しかし一応「心」っつー資源も大事かと思われるNPOのお仕事。
シンガポールの潜在性やいかに。

(2004年5月31日)



日本人の働き方 1 

去年のクリスマス前、バイト先の部署はてんやわんやの大忙しだった。「たいへんですね」と声をかけると、日本人のボスは、
「奥さん怒るだろうけど、何かあったら休暇は返上だな。」
一方、シンガポール人のボスは、
「何があっても休暇には行くよ。娘が首を長くして待ってるんだ!」
とのお返事。う~~む、何なんだこの差は?

日本人は働きすぎってよく言われるけど、何でなんだろう?
シンガポール人は終業ベルが鳴った途端に帰ることもあるけど、日本人で席を立つ人はまれ。もちろんシンガポール人だって働き者で、忙しかったり急いでいるときは残業もするし、責任感だってある(はず)。でもやっぱり違う。

一つには何に優先順位を置くかが違う。
シンガポール人で結構出世してた人が、「忙しすぎて家族と会う時間がない!こんなのクレイジーだ!」って会社を辞めちゃったという話は何度か聞いた。そのたびに日本人(である私も)は「ええ~っ」と驚いてしまう。シンガポール人は働き者の日本人のことを尊敬しているみたい(なことは言う)けれども、「俺達はやらないけどね」と思っているようである。

それから仕事の身構えみたいなものが違う。
シンガポールの人の方が、「私の仕事はここからここまで」と割り切っていてドライなような気がする。日本人の方は、仕事が包括的というか、特にそういう立場にない人でも仕事全体を見ていろいろやっちゃう傾向にあるような。まあ、私が日系企業を観察してるからそう思うだけかもしれないが…。

それからやっぱり仕事のやり方が違う。
それぞれに効率的な部分と非効率な部分があって、どちらがいいとはバイトごときの私にわかるはずは無いが。
日本人はパフォーマンスで100%を目指すが、シンガポールではプレゼンも入れて100%(つまり1割増くらい?)を目指しているような気がした。でも1-2割増ならいいほうで、ヨーロッパの人たちの仕事&プレゼンを見たときは、こりゃ4割増しだな、と思った。

日本人は電話も結構長い。
米系企業にいたときは、「仕事中は留守電にして電話は取るな。効率が下がる。」と指示された。そ、そんな非人間的な!と思ってすぐ辞めちゃったけど。

で、上に書いた2人のボスは、結局2人とも休暇に行けたようです。
よかったよかった。

(2004年5月15日)



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