エレファントピア

エレファントピア

アチェの2年 2008年1月~6月


2008年上半期分。

● 何もない、パラボラ以外は。(2008年1月3日)

水が足りない、トイレがない、薬がない、病気になってもかかれるお医者がいない。。家だってないない。
だけど、パラボラアンテナ(=テレビ)はある。

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やはり紛争と(津波)地震被害を受けたインドネシアの中では比較的開発の遅れた土地であるだけに、そこそこないないづくしのクレームを聞いたのですが、それにしてもパラボラアンテナ(だけ)はあるじゃないか!

テレビというものが、明らかにトイレよりは人々の生活必需品、上位に位置するものなのだということが分かります。これだけ立てても、国際放送などが見られるようになるわけではなく、普通の無料のインドネシアテレビ放送にアクセスできるだけなのですが。

日本や先進国はモノの開発、世に出る順番に従ってモノを取り入れてきたわけですが、こうした場所では世に出た順番とは関係なく、人々がそれを欲するかどうかが普及の順番になるところが、おもしろいです。

テレビ、DVD、携帯、扇風機、ウォーターディスペンサー、炊飯器、それからずっと減って、冷蔵庫...、といった順番でしょうか。
もちろん家庭(家族構成)にもよりましょうが、上位2番目は不動の強さです。

人に必要なのは、衛生よりエンタメなのだろうか。。。

(2009年6月4日作成)


● ブキティンギの刺繍(2008年2月)

2008年2月にはお休みがあって、スマトラ島のパダンから車で3-4時間の高地、ブキティンギに行ってきました。

その時の日記がこちら→


ちょっと補完。

マニンジャウ湖はほんとうにきれいなところだったけれども、周りには驚くほどなんにもなかったなあ。。みんな自力でお弁当など持ってきて、ピクニックをするようです。
飲み物なんかを売っている売店があって、そこで湖でとれた小魚を多分なんらかの豆を砕いたもの(?)と混ぜ合わせてバナナの葉っぱでくるんで焼いたものを売っていました。

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こちらができあがり。

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小魚大好きなので、ついたくさん食べてしまいました。


湖のほとりの食堂で、パダン料理を食した後は、銀製品と刺繍を売っているという村に連れて行ってもらいました。

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刺繍は非常に美しく、質が良かったです。
銀製品のアクセサリーも良かった。ここで狂っていくつかシルバーを買ったのですが、1年以上経った今でも重宝しているので、やっぱり買って良かった。。もう多分2度と行かないだろうしなあ。。


こうして振り返ってみるとインドネシアは広い各地にいろいろな伝統文化があって羨ましいです。日本と比べて、ではないですが。今シンガポールの伝統文化を紹介する的な役目が回ってきそうで、ほんとうに頭が痛いところなので。
かぶるんだよな~ なにもかもが。

(2009年6月9日作成)


● とらわれの (2008年3月)

こちらは村で見かけたとらわれのKing Fisher(かわせみ)

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ぶっちょう面です。

村ではよく、山の方で捕まえられた鳥(怪我をしていたのを拾ったり)を見かけました。こちらの人は庭に花を植えたり、鳥を飼ったりするのが好きみたいですね。それが野生なのはいかがなものか。。という気がしますが。


中には山奥の方で、某絶滅危機種的な鷹的な鳥の雛を拾ってきてしまう村人もいます。村人もこれがフツーの鳥でないことは知っている。でも村の方では、誰に相談してもなんともできないので、仕方なく某NGOのスタッフ(ドクター)に渡してきたりしてしまう。
村人は某ドクターはお金があって、某鳥の面倒が見られることを知っているわけです。

彼は毎朝のマラソンの道すがら水牛の肉を買ってきて雛に与えます。そう!飼おうと思うと(思っちゃダメだが)餌が普通の村人では考えられないほど高いわけです。皆基本お米を食べているわけで、水牛の肉なんて、お祭りとかお祝いの時に出てくるぜいたく品ですからね。それを毎日食べさせろというのですから、やっぱり某絶滅...。

でもドクターが用事で町を離れると、他の人にお金を渡して世話を頼んでも、世話を焼く人がご飯をあげてしまうので、雛さんは食べるものがなくて死んでしまったとか。
世話を焼く方としては、なんで鳥なのに人間よりいいものを食べなきゃいけないのか、理解できないのですねー。


やっぱり安物食いのほうが、繁栄するのだろうか。

人間って何でも食べるもんねー。

(2009年6月12日作成)


● サバン島(2008年5月)

2008年も5月になりました。
この月はインドネシアの祝日があって、サバン島に小旅行に行ったのでした。
その時の日記がこちら → 

あんまりきれいな海だったので、写真をまたUp

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夕暮れ。

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本当に暑かった。
人生で2度目の熱中症になりました。人は暑さで死ねる...!と思った。

遊んでばかりいるようですが、間隙をぬって懸命に遊んでいたわけで、ほとんど仕事をしていました。(あたりまえだが。。)


次は仕事のことも書いておこうかな。

(2009年6月16日)


● こつぶさま登場(2008年5月)

2008年5月には、こつぶさまが事務所に初登場した月でもありました。

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こんな方(猫)。

おかあさん猫が台所のゴミ箱をあさっている傍らで、ちょこんとたたずんでいるのを、同僚が確保。あまりのラブリーさに同僚が「こつぶ」と命名。

↑は確保後の一枚です。私に対しては、すでにもう、威嚇態勢。


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腹を出し、ベロを出し、肉球を開いてみせるこつぶさま。
カメラのストラップで遊ばせながら、かわいい姿を激写したかったのに、映ってみれば、すごいお姿。。

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遊びつかれて一寝入りのこつぶさま。
でも、そこは私の席。。


こつぶは大体この後半年くらい、おかあさん(猫)と一緒に事務所にいました。こつぶのおかげで、大変なときでも、私も同僚もほんとうに心を和ませてもらいました。彼女がいなかったら、もっと早く仕事を辞めていたかも(!?)

猫って重要です。

(2009年6月17日)


● 浅井戸のこと(2008年5月)

2007年5月頃から調査をはじめ、実際に事業が動き出したのが、1年後の2008年4月~5月のことでした。
事業の形が決まってきたのが、たしか2007年の12月頃。その後は契約書、合意書、MoUなどの準備期間でした。この事業が実際に動き始める準備の時期と内容というのはとても大切。結局実施中の問題というのも、ここで練りたらない部分が禍根となって発芽することになる。

地域調査の結果、地域の生活用水と飲料水を確保するための給水事業を実施することになりました。
地域の既存の水源は、川、小川、浅井戸、などがあるのですが、その浅井戸(Open Dug Well)の多くは、ただ地面に穴を掘っただけのもので、私たちはPitと呼んでいました。


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こういう穴ですので、乾季で雨が降らなくなると、10日かそこらで水がほとんどない状態になってしまいます。雨季の時には水量は確保できるのですが、反対に周囲から水が流れ込んできて、鶏糞、牛糞、人糞なども流れ込んでくる恐れもあり、水質的にはかなり悪くなります。


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洗い場はこんな感じ。
石鹸水なども、また井戸に逆流する井戸もあります。


世界中の水に困っている地域と比べれば、雨が降るだけ水の問題は深刻ではないと言えますが、むしろその先の衛生まで考えてもいい、のに考えていない。という状態でした。

こうした状態というのは、必ずしも裨益者に問題意識化されていないのが微妙なところですが、一回きれいな水を使い始めると、今度は後戻りできないのも、また不思議というか、微妙なところです。

(2009年6月22日)


● 掘削開始!(2008年5月)

最初の対象村で深井戸の掘削が始まりました。
深井戸といっても大体100mくらいの深度です。ミャンマーで掘ったときは深いときでは900m近い井戸もありましたので、これはTube Wellではなくて、Boreholeと言われる類の井戸です。

一昨日の日記 →☆ のような状況を(一応)改善するために、深井戸による飲料水の向上と、浅井戸の改善による生活用水の確保というのが事業の目的となりました。他にも衛生観念の植え付け的な活動もあり、これは今も現地では進行中で、なかなか面白いことをしているようなのです。が、その結果と効果や如何。

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まず掘削地点の横にこうして穴を掘ります。
強制労働ではありません、念のため。

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それでもって、この巨大なバケツを穴に入れます。掘削時に使う水と泥水を循環させるシステムです。
この村は地盤がゆるい、というか土自体がとても水に溶けやすくて、掘ったら土は雨などに解けてどんどん流れていってしまう。元沼沢地みたいな感じ。

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掘削のカウンターパート所有の掘削機(リグ)が届きました。
隣にいるおじさんは誰だろう?ドリラーかな?ただの村人?


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やるきなさ気~に様子をうかがうお母さんと子供たち。
やっぱり最初の村の村人たちは、半信半疑、おっかなびっくり。といったところ。


こういう写真って他の人が見ても別に楽しくなんだろうな~と思うのですが、私はリグとか巨大バケツとか見ると、どきどきしちゃってたまりません。重機とか見ると、もううれしくてうれしくて。。(嘘です、でもちょっとホントかも。。)

(2009年6月24日作成)


● 水が出た!(2008年5月28日)

最初の掘削対象村落で、掘削完了。地下水にあたりました。
またしても普通の人が見ても楽しくもなんともない写真ですが、初めて水が出たときは嬉しかったなあ。
まあ、それを目的にしているので、出なかったら困るのだけれど。

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地盤がゆるい土地で掘るときは苦労しましたが、帯水層にあたるのは比較的早かったようです。5日間くらい掘って、101mくらいの深度でした。
出るとなったらぼわっと出ます。

そして当たり前ですが、いっぺん出始めたら、止まりません。
(しばらく出水した後に蓋をしますが)

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水が周りの土地にだらだらと流れ出して、広がっていって、慌てる村人(とスタッフ一同)。だから排水溝を掘っておいてと言ったのに~


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おもむろに鍬を持ち出して、道路を掘り出してしまいました。道路の向こう側の水路に排水するため。まあ、それしかないと思うけど。でもいいのか!?

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村長さん自らも鍬を持って手伝います。これで簡易排水溝もできて、一安心…。

村長さん曰く、「本当にうちの村に水が出るなんて、夢のよう…」とのこと。まだ夢心地のようすでした。
そうか~ どうもこの村の反応はいまいちと思っていたら、あんまり現実感がなかったんだろうなあ。。


この後はタンク、タワー、蛇口と洗い場のある給水施設の建設を村のワーカーさんを組織して行います。

(2008年6月29日作成)


● 工事開始!(2008年6月)

この事業の対象村落は、対象地域(郡)全43カ村中、給水が特に困難な6カ村のみが選定されての、小規模なものでしたが、その6カ村中4カ村は、掘削中にもほとんど問題なく、着々と掘り進んでいきました。

安全な水が出たことが確認されたら、今度は給水施設(タンクタワー、洗い場、蛇口、ポンプ設置場、ケージ)を建設します。村には水管理委員会という、この事業と出来上がった後の給水施設の運営を担う組織が作られて、委員会によって、村のワーカーさんたちが選ばれました。

前回の日記( →☆ )で、水の出ていた所にパイプとケーシングが挿入されていて、地上に設置されたポンプで水を汲み上げます。その水をさらに地上10-15mの高さに汲み上げ、タンクに貯水するのですが、↓は貯水タンクをのっけるタワーを作っているところ。

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こんな感じ。

鉄骨とポーズを決めるおじさん。ルンタクヤ村にて。


同村の工事現場ではちゃくちゃくとコンクリートミキサーでコンクリートが作られていきます。
この後ろに写っている建物は、「ムナサ」と言って、イスラム教の集会場です。宗教イベントのみならず、コミュニティの話し合いや、子供たちや女性の集まり、季節になると凧製造所(あそびのため。。)にもなったりします。
この場所を深井戸の掘削地点に選んだ時は、今にも嵐かなんかで飛ばされそうな激ほったて小屋だったのですが、井戸が出来たら、修復されて、色まできれいに塗りなおされていました…!

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「やればできるんじゃない!?」
と、なんどこの事業中に(こころで)叫んだことか…。
村の人たちによると、「せっかく井戸ができたのに、ムナサがボロいと恥ずかしい(?)し…」とのこと。
なんにもしないときは、朽ちるにまかせてボーっとしているのに(失礼…)、なにか刺激(この場合井戸)が加わると、それに刺激されて周囲も変えていこうという気が起きるようでした。



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こちらは別の村、グノンランブンの鉄筋設置の様子。真剣な面持ちです。(対カメラ?)

この村は2番目に水の出た村だったのですが、給水施設が完成したのは、一番でした。
しかし残念ながら、けっこう仕上げが雑で、質もいまいちっぽかった。写真の鉄骨造りも、よ~く見ると、上のルンタクヤ村の写真の方が、よく出来ています。
この村はとにかく何でも早いけれど、気をつけないと、質をおろそかにしている、ということが多かったです。多分早くお金(日当を支払っていました)が欲しいというのもあるでしょう。
一方、上のルンタクヤ村は施設完成には時間がかかりましたが、仕上げはわりときれいでした。


クオリティコントロールというのは、難しいなあ、と思いました。
いくら資材を整えても、工事監督がいても、質には関わる「人」が反映されるのですね。
トレーニングも行いましたが、やっぱり付け焼刃。もともとそういう仕事をしていた人たちはいて、即戦力にはなるのですが、ローカルスタンダード(セメントの比率とか…)を持ち込もうとするので、小さな事業とはいえ、技術的なせめぎあいがありました。



こういうみんなでやる力仕事は得意。

えいやこらさ。

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(2009年7月6日作成)

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