りらっくママの日々

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2009年03月20日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記


「アイツとボク8」



ジーパンが乾きやすいように干してあった。

フジサワさんは、バスローブを着て、ベッドにぼんやりと転がっていた。
ボクは、側に座って、ため息をついた。

「やっぱり、こんなのダメですよ…。やめた方がいい。」

彼女は、ボクの顔をぼんやりと見て、言った。

「そうだね…。やめようか。」

彼女が洗面所の方へ歩いて行き、服を着始めた。
そうすると、それはそれで、
ボクは何だか残念なような気持ちになった。

「今すぐ出てもお金取られちゃうね。悪いことしちゃった。お金出すね。」

彼女が洗面所から言った。

ボクは何となく、空しい気持ちになって、そのままベッドに寝転んだ。

「いいですよ。別に…」

「そっか。何だか私が出すと、援助交際みたいだもんね。」

彼女は洗面所から出てきて、笑顔を浮かべた。
作ったみたいな笑顔だった。

「アオくんも着替えてくれば?」

フジサワさんは、ボクの隣に座り、
テレビのリモコンに気付いたらしく、テレビをつけた。
テレビは、アニメの映画を放映していた。

「あ~、コレ今日やってたんだ。観てみたかったんだよね。」

男の子と女の子が手を繋いで何かから逃げていた。

「観てから帰りますか?」
と、ボクは咄嗟に言っていた。

彼女は意外なことでも聞いたような感じで、ボクの方を見た。

「うん…。」

そう言って、画面をジッと見ていた。
無言で。

ボクもどうしていいかわからず、しばらく観ていたけど、
ベッドに置かれた彼女の腕を、淋しくなって、引いた。

彼女はボクの方をようやく見て、
隣に寝転がった。
ジーパンの裾がまだ濡れていて、ボクの足に当たる。
冷たかった。

ボクは彼女を引き寄せて、強く腕の中に抱き締めた。

やっぱりダメだと思った。
もう止められない…。

彼女の唇にキスをした。
Tシャツをまくりあげて、強引に手を入れた。
冷たくなっていたジーパンを脱がせた。

彼女の柔らかい肌に、口で触れていく。
手で感触を確かめる。

彼女の息がボクの髪にかかる。
体が熱くなって、心臓が壊れるかと思った。

彼女は、不器用なボクを助けていく。
まるで、着替えを母親に手伝ってもらっていた子供の頃みたいだ。

柔らかくて、温かい肌に、ようやく巡り会えた感じ。
懐かしいのに、初めての感覚。

結局、うまくできなかったけど、
彼女はボクを慰めるように抱き締めてくれた。
ボクも、彼女を腕の中に包んだ。
彼女が小さい女の子のように見えた。

「ごめんね…。」

彼女が言った。

「こんなオバサンとだから…。」

ボクはずっと気になっていた。彼女の自信の無さに。

「年齢は関係ないから。」

ボクは言った。

「それに、オバサンなんかじゃないから。」

ボクは、彼女をギュッと抱き締めて、キスをした。

「アオくん、熱いね…。」

彼女が言った。

「もう、自分は女じゃないかと思ってたよ。ただのオバサン。」

ボクは、フジサワさんのダンナさんのことを忘れるようにしていた。
彼女に聞いたら、
そのことばかり考えてしまいそうだったから。

「このまま…おばあちゃんになっちゃうのかなぁ~って思ってた…。」

「何かあったんですか?」

「ううん。私の気持ちの問題。」

そう言って、何も質問されたくないように、またボクに抱きついてきた。
ボクも抱き締めた。
そうして、ずっと抱き合っていた。

「もう、出なきゃいけないね。」

彼女にそう言われると、
ボクは、もっと早く、彼女を抱いておけば良かったと思った。
どうせこうなるのなら、
もっともっと、彼女とこうして抱き合っていたかった。

車に乗ると、彼女は、ボクの手の上に手を重ねてきた。
とても、幸せな気分だったけど、とてもせつなかった…。
何も言えなかった。
彼女に指定された駅に車を止めて下ろすと、彼女が笑顔で言った。

「アオくん、本当にありがとう。すごく幸せだった。」

彼女が本当にボクを名残惜しそうに見るので、ボクも自然と返事をしていた。

「ボクもです。ボクも…。」

彼女が外で手を振っている。
笑顔なのに、淋しそうに見えたのは気のせい?

家に向かう途中気付いた。
彼女の連絡先を聞けば良かったと。
でも、聞いて電話したりする勇気はあるんだろうか?

明日会えるから、その時にボクのを教えよう。
ボクはそう思っていた。

が、彼女は翌日バイトには来なかった。

「仕事が早く終わったから、女性のうち、半分は昨日までにしたんだよね。」

社員さんが教えてくれる。

「そうなんですか~。」

ボクは、何気ないふうを装う。


彼女とはもう二度と会えないんだ…


何かが失くなってしまったような、淋しい気持ちでいっぱいだった。

ボクは帰り道、赤木くんに、電話をしていた。



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最終更新日  2010年03月27日 15時48分22秒
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