りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年04月29日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記


「アイツとオレ25」



そう言えば、高校の時もそうだったし、
中学の入学式にも、珍しい4月の雪が降ったんだった。

オレもそうだけど、男はスーツがほとんどだからいいけど、
女の子たちは、袴姿が多かったので、大変そうだな…と思った。

女として見ることがなかったクラスメイトの女子も、
今日は、何だか女に見えた。

クラスでつるんでいたメンバーの半分は故郷へ。
半分はこっちで就職を決めた。

式が終わると、
もう、この学校とは、ほんとうに「オサラバ」なんだと思った。

いろんなことがあった大学生活。
入学してすぐに去ると思っていたのに、卒業できたなんて、
オレにはとても感慨深い。

オレを学校に引き戻してくれたアオヤン。
家まで訪ねてきてくれたシュウにトモヤ。
戻ってきた時に、フォローしてくれたみんな。

嫌なヤツもいたけど、
これも全部、支えてくれた友達のお陰なんだな…と思うと、
感謝しないではいられなかった。

謝恩会は、ほとんど飲み会のバカ騒ぎ大会だった。
故郷組に別れを告げて、遊びに行く約束を取り付けた。
イグチは、こっちに残るらしい。
アオヤン共々、長い付き合いになりそうな予感がした。


そしてオレはようやく新入社員に。

サキに聞いていた通り、入社式は眠くなった。

入ってしばらくは、同期と研修で毎日会っていたので、仲良くなり、
研修所から、そのまま飲み会と言う日々が続いた。
お陰で、たくさんの同期と知り合いになれた。

一人暮らしに近い寮生活は、同期が沢山いっしょに住んでいたので、
最初のうちは、ほぼ毎日が飲み会だった。
サキの寮とは名ばかりのアパート暮らしと違って、
こっちは本当の寮だった。

オレは、大学の時から、週末サキの寮に時々泊まりに行っていた。
だけど、この研修やら実習やらのせいで、
なかなか行かれなくなった。

販売研修、ライン研修をさせられて、配属は6月だった。
今までの楽しい環境変化の日々は一気に終わり、
退屈な仕事の毎日がオレを待っていた。


何が嫌だったって?

オレが自分の学部の勉強は生かさなくてもいいです。
と、面接で言ったことが、人事に配慮されたらしい。

全く学部と違う部署に配属になったのはいいけど、
それを聞きつけていた、上司や、周りの皆さんは、
ワガママなヤツが入ったと受け止めたようだ。

オレに対する風当たりは、最初からキツイものとなった。

「赤木くん、何でその学部で、この部署なの?」

世間話のついでにそんな言葉がよく付け加えられた。
その度に、面接でも繰り返し言った言葉を、
ヘラヘラしながら、返す。

「大学で、勉強してるうちに、オレには合ってないってわかったんですよ。」

「親が泣くなぁ~。」
「ワガママだよね。」

ここでも学部がオレの足を引っ張る。
このままずっとこうなのか?

顔にムカついたのが出たらしい。
相手が、いけない話題だと思ったのか、
興味が無かっただけなのか、サッサと話を逸らした。

オレは、そんな子供みたいなままではいけないと思い、
「すみません。」
と、言いながら、職場では即愛想笑いを浮かべ、飲みの席では酒を注いだ。

自分の気持ちを殺す毎日。
愛想笑い。
慣れない仕事。
どうでもいい、ささいなことにハラが立つ。
なのに、顔には出せない。
当然、ストレスも溜まっていく。


「ねぇ、配属されてから、ずっとシンちゃんは文句ばっかり言ってるよ。」

オレは待ちに待った週末をサキの部屋で過ごしていた。
サキはオレのために昼飯を用意してくれていた。

今日会えたのは、二週間ぶり。
電話は週1になっていた。

この頃は、サキに会えることだけが、
オレの唯一の息抜きの時間だったけど、
サキは、販売から内勤に移りたくて、必死で仕事と会社の勉強をしていた。

だから、あまり会うことも、連絡も、お互いだんだん取れなくなっていた。

オレはまだ馴染んでない、
寮の同期と過ごすことが多かった。
そいつらもグチばっかり言っていた。
どうやら、オレにもそれが染み付いていたらしい。


「そう~?だって、オレ、またこうかと思うと、何かヘコむよ。
もう、バンドも思うようにやれそうもないしさ。」

「しょうがないじゃない?
まだみんな、シンちゃんがどんな人か知らないんだし。
最初は、私もそうだったよ。
ほら、怒ってるように見えるって言うか、気が強いのがバレバレの人相だから。
かなり損してると思うのよね。」

サキは口にスパゲティを運びながら、そんなことを言った。

「そうだったっけ?オマエ、そんなこと言ってなかったじゃん?」

オレは、サキが就職した頃のことを思い出しながら言った。

「シンちゃんが言わせなかったんでしょ?
話してると、退屈そうにしてたり、不機嫌になってたじゃない。
私の気持ち、ちょっとはわかった?」

サキの顔は、当時を思い出したのか、
ちょっとキツくなっていた。

オレはため息を大きくついた。
何だか申し訳ないような、情けない気持ちになった。

「何だかカッコ悪ぃな~。オレ。
ゴメンな、頼りなくてさ。」

「いいわよ~だ!お陰で強くなれたしね!」

食事が終わると、サキを膝枕にして、寝転がる。

「サキ…ここ出て、いっしょに暮らせないかな?
まだ、結婚とかは無理だけど、
お互い仕事で、なかなか会えないしさ。
電話にオマエが出ないと、何だか心配になるし…。」

「本気で言ってるの?結構家賃高くなるよ。寮と違って。」

「それでもいいよ。サキがいれば、オレ元気出るしさ…。」

サキはオレの髪を撫でて、考えているようだった。

「いいよ、私、出ても。
男が通ってる~って、
そろそろ、先輩に目をつけられてて、ウザったかったんだよね、ココ。

それに、今年から、寮扱いじゃなくなったの。
外に出ても、住宅手当はいっしょになったんだ。

シンちゃんの会社の近くに住んでも、ココからでも、
通勤時間は同じ位じゃないかな?」

オレは意外な返事が返ってきたので驚いた。
そうできたら、どんなにいいだろう。

それから二人で住める物件を探したけど、
とりあえず、サキが寮をすぐに出て、
オレの会社との中間地点に一人暮らしをすることになった。

働いてみてわかったけど、サキの方がオレより高給取りだった。
ボーナスも多い。

でも、今までのデート代や電話代を考えれば、
そこで二人で過ごしてもたいした金の変化はなかった。

サキは節約になったと喜んだし、
オレは、返って、サキに食費の補助ができるくらいだった。

中間地点はオレの自宅にも近かったし、ちょうど良かった。

オレは平日もサキの部屋にいりびたるようになり、
半分同棲しているようになった。

そうしているうちに、ようやく部署の人間や仕事にも慣れてきた。
寮のヤツらとも打ち解けた。

でも、

その頃から、ちょっと、オレとサキの歯車はズレてきてしまったんだと思う。



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最終更新日  2010年03月27日 16時23分15秒
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