りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年07月14日
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カテゴリ: ある女の話:ユナ
今日の日記



<ユナ9>




話には聞いていたけど、フジサワくんちはお父さんと別居してるらしい。
そして、なぜかわからないけど、
フジサワくんのお母さんは私によそよそしい感じがした。

どこの学校を出たのか、とか、
親は何をしてるのか、とかって話をお母さんに聞かれた。
テレビドラマみたいだな…って思った。
妹がいたけど、友達と約束があるとかって出かけてしまった。
弟も玄関で挨拶しただけですぐにいなくなった。

気を遣って疲れる。
このお母さんと上手く行くんだろうか?
穏やかそうな感じで、ぼそりぼそりとしゃべる人だけど。

フジサワくんの部屋に
当然みたいに私の分まで布団が敷かれていた。
まだ結婚してないのに、いいのかな…って思った。
何となく、こういうのって恥ずかしいものなんだと思った。
変な感じ。

「あんな感じで良かったのかな?
私何もしなかったけど…。」

「いいんじゃん?別に気にしないで。」

フジサワくんはマンガの雑誌をめくりながら、
気の無いように言った。

そんなものなんだろうか?

化粧ポーチを洗面所に忘れたと思って、
音を立てないように階下に取りに行くと、
居間の方からフジサワくんの妹が帰ってきてるのか、
お母さんとの話声が聞こえた。

「…どう思う?」

「何で?カワイイ感じで、イイんじゃないの?」

「でもねぇ…。何か、何もできなそうで。
大学の時に連れて来た、イイダさんって子いたでしょ?
あの子の方が、お母さん何となく好きだわ。
しっかりした子の方が、お兄ちゃんには合う気がするのよ。」

「別に、お母さんが結婚するんじゃないんだからイイじゃない。」

「そうなんだけどねぇ…。」

これ以上聞いちゃいけない!
私は足音を立てないように、静かに部屋に戻った。
心臓がドキドキしている。

そう言えば、夏の帰省で電話した時も、
何となくお母さんが出た時は嫌な感じがしたっけ。

さっき、言われなきゃ何もしなかったのもいけなかったのかも…。

「どうしたの?」

フジサワくんがマンガから目を離して聞いてくる。

「ううん、何でもない。
何だか変な感じだね。ここに泊まるのって。」

「そうだね。ユナがここにいるのって変な感じ。
家が自分ちじゃないみたいだよ。
でも、もうそろそろこの部屋もオレの部屋じゃなくするつもりみたいだよ。
ちょっと淋しいよな。」

「私にとっては、いつも行く部屋の方がフジサワくんの部屋って感じだけどね。」

「うん。もう、そうだよな。
でもさ、これからは、オレだけの部屋じゃないって言うか、
二人の家探さないとな。」

「うん…。」

「どしたの?緊張してる?」

「ううん、そんなことないけど…」

「そんな顔してると、心配になっちゃうじゃん。」

フジサワくんが抱きしめてきて、キスをする。
舌がからんできて、パジャマの中に手が伸びてくる。
まさか実家でそんなことはしないでしょ?

でも、どんどんエスカレートしてくる。

「だ、ダメ…ヤダっ。」

フジサワくんの手を払いのける。

「あ、ごめん…。」

「止まらなくなったら、困るでしょ?」

フジサワくんがしょんぼりしてる。
何か悪いことしてしまった気分。

フジサワくんはまたマンガを読み始めた。
私もそこらにあったマンガ本を読む。

でも内容が頭に入ってこない。
さっきの会話が蘇る。


  イイダさん…
  しっかりした子の方が…


イイダさんは、いつものサークルのメンバーの一人だ。
まさか、あの女の子がそうなんだろうか?
あの子は彼氏がいるって聞いたと思った。
もしかして、フジサワくんをフッたって、あの子なんだろうか?

それなら女の子たちのあの態度もわかる。
でも、だとしたら、何であのサークルにお互いまだ出てるの?
いっそ聞いた方がいいんだろうか?

ううん、やめよう。
昔のこと。
今フジサワくんが好きなのは私。
だって結婚するから、ここにいるんだし。

私は自分に言い聞かせた。

オヤスミって言って、
マンガを読んでるフジサワくんの頭を撫でてあげたら、
その手を掴まれて、強引に布団に押し倒された。

どうしよう、もしかすると気付かれちゃう。
抵抗すれば音が立つ。
強く力を入れられた。

「声、出しちゃダメだよ…。」

自分の心臓の音がする。
こんなのって、マズいと思うのに、
心臓の音だけが自分の体が興奮していることを伝えてくる。

ねぇ、私が一番好きなんだよね?
そうだよね?

でも、ここに連れてきたって言ってた。
もしかしたら、
彼女にもこんなことしたの…?


翌日のお母さんは、昨日よりもよそよそしく感じた。
私は愛想笑いを無理に作る。

お母さんのお雑煮美味しいですね。
とか何とか。
うちのは澄んでたけど、フジサワくんちのはお味噌汁みたいだった。

すすんで机を拭いてみたりした。
家でしないことはしなくていいのよ。
って、お母さんに言われた。
どういう意味だろう…。

「何時に寝たの?」
お母さんがフジサワくんに言う。

「え?すぐ寝たよ。なんで?」
フジサワくんがすっトボける。

「ううん、寒かったから、すぐ寝れたのかと思って。」

何だか笑顔が自然すぎて怖い。

「オレたち、夕方には帰るからさ。」

「え?もう?明日じゃないの?」

お母さんが言った。

「うん。ちょっと向こうで用事があるんだ。
母さんも仕事あるんでしょ?」

私はホッとした。もう帰りたいと思っていたから。
部屋に戻るとフジサワくんが言った。

「ねぇ、帰ったら、夜の続きさせてくれる?」

「え?!
何言ってんの~。
それで帰ることにしたんじゃないよね?」

「だって、あんなのヘビの生殺しみたいだよ。
オレもうヤダよ。
すげーしたくなっちゃった。今日もなんて勘弁だよ。
帰りたい~。
じゃなきゃ他泊まろ?」

私は笑ってしまった。

フジサワくんがスケベな人で良かった。
あー拒んで良かった!

そう思った。

でも、イイダさんのことは頭から離れることはなかった。
それからお母さんの言葉も…。








続きはまた明日

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最終更新日  2009年07月14日 20時07分12秒
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