りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年07月23日
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カテゴリ: ある女の話:ユナ
今日の日記



<ユナ18>





「ふーん、そうなの?」

サトシが味噌汁を飲みながら言った。

「うん。行ってみたら、受付の女の子が言ってたの。
あ、その女の子、私より2つ年下なんだけどね、結婚してて、
ものすっごくカワイイのよ。」

「へぇ~。」

食べ終わると、クイズ番組を見ながら答える。

「受付みんなそんな感じ。
どうやら塾長の好みで採用してるみたいなの。
そういうのって、どうなのかな?」

「いいなぁ、トップになるとそんなことできて。
ドラみちゃんの好物~?何だろそれ?」

サトシは私に聞いてるんだかテレビに聞いてるんだか、わからないことを言っている。
目はテレビだから、テレビに言ってるのかも。

「何だかね、前に務めてた主婦の人が、
子供が熱だしたとかって、しょっちゅう休んでたんだって。
だから子供がいるのかどうかずっと聞かれちゃった。
すぐ作らないよね?とか何とか。」

「へぇ~。メロンパンなんだ?
ふーん。いい迷惑だなぁ。そういう人がいると。」

「でもさぁ、子供が熱出したりして、
どうしようも無いこともあるんじゃないかなぁ~。
やっぱ子供がいると、そういうことで雇ってもらえないんだね。」

「うん。」

何かもう最後は私の独り言みたいになってきたので、
会話をやめた。
私もクイズを見る。

子供の話を出すと、サトシはめんどくさくなるのかもしれない。
会社で、子持ちの人の話を聞いて、
ゆっくり眠れなくなったとか、
趣味を邪魔されるとかって話を聞いてきてるからかも。
とりあえず、クイズを見て、私も笑った。

あの人もテレビ見てたらこんな返事なんだろうか?
同じこと話したら、違う返答が返ってくるかな?
私はふとヨシカワとのやりとりを思い出して、そんなことを考えた。


「ねえ、フジサワさんとダンナさんの馴れ初めってどんな感じだったんですかぁ~?」

受付で、可愛らしさナンバーワンと思われる、
アイドルみたいなモリタさんが私に聞いてきた。

顔もカワイイけど、舌足らずで、一見結婚してるとは思えない。
歳も私より2つ下なんだけど、小柄なせいか20歳前後にしか見えない。

「え?あ、同じ会社の同期だったんですよ~。」

私は無難な返事をする。

「同じ会社?」
モリタさんは目を輝かせて、いきなり私の夫の会社名を言った。

「履歴書にそう書いてあったから~。
あのね、私の友達がそこに勤めてるんですよぉ~。」

受付をしてる彼女が人事的な仕事もしてるのか?!
私はその時初めて知った。
こういうのって、あまり気分がいいものではなかった。

素直と言えば、素直なんだけど、
私が履歴書に書いたことが、
受付の女の子たちの中ではまるわかりなんだろうな…。
自分が教えてないことをいきなり知ってることが気持ち悪かった。

「正社員ですか?
知り合いかなぁ?」

私はとりあえず笑顔で話を合わせる。

「パートですよぉ~。
知ってたら、旦那さんの会社での様子、教えてもらいましょうかぁ?」

「え~、いいですよ~。」

正直、そういうの気持ち悪かった。
何でいっしょに暮らしてる夫のことを第三者から聞かなきゃいけないんだろう?
私は馴れ初めなんか正直に言ったことを後悔した。

「モリタさんは?旦那様との馴れ初めは?」

私は会話を逸らすことにした。

「私は同級生なんですぅ~。同窓会で再会して、結婚したんですよぉ~。」

私もモリタさんの旦那さんの会社を聞いてみようかと一瞬思った。
でも、正直、自分と関わりの無い人が、
どこの会社で、どんなとこで働いてようが、私は興味なかった。
彼女が続ける。

「でもね…。
実はヤケで結婚しちゃったんですぅ~。
それまで付き合ってた彼にふられちゃって…。
その時たまたま同窓会があって、それでその同級生と結婚しちゃったんです…。」

「あ、そうなんだ~?」

いきなりそんな話をされて、ちょっとどうしていいのかわからない。
まさかサトシもそうなんじゃないよね?
一瞬そんなこと思ったりする。
彼女が話を続ける。

「あのね…、
実はまだ、その時の元彼と付き合ってるんですよぉ。」

え?!
一瞬ビックリしたけど、
私はそれを顔に出さなかった。
自分が年上ってこともあったから、何となく構えてしまっただけなんだけど。
それが彼女にとって意外だったらしい。

「フジサワさんは驚かないんですねぇ~?」

「うん、まあ…。よくあることなんじゃないかと思って。」

実際、最近友達の同僚が、不倫してるって話を電話で聞いたばかりだった。
相手の奥さんがお金持ちで、慰謝料いらないから離婚ウンヌン…って。

サトシの父親も、お母さんと離婚してしまった。
妹が結婚してすぐに。
弟は、独り暮らししてるらしい。
サトシは母親のことを以来心配していた。
仕送りをしたいって言っている。

私のその答えをどう取ったのか、
モリタさんは更に続ける。

「そっかぁ~。そうですよね。
フジサワさん、いろいろ知ってそうな感じしたんですよぉ~。
大人って言うかぁ~。」

へぇ~。私ってそんなふうに見えるんだ?
友達に教えてやりたい。

「いや、そんなことは無いんだけど、
友達とか…、たまたま最近、ね。」

ふぅ~ん。って感じで
更にモリタさんは調子づいたらしい。
話は続く。

「元彼がね、結婚したら、やっぱり戻って欲しいって言い出したんですよぉ~。
私も、彼のこと、本当に好きだったし、
うん。ダンナより好きなタイプなんですね。
でも、ダンナも好きって言えば好きなんだけど、物足りなくて…。

実はね、今そんな感じだから、
妊娠しちゃったらどっちの子供かわからないんですぅ~。
元彼は別れて俺のとこ来いって言うしぃ~、
でも、ダンナは経済的に稼ぎがいいしぃ~、
迷ってるんですよね。」

私は呆然とした。
面白い話だと笑うことができない。
まあ、他人事だから、彼女がどうするのか興味はあるけど…。
かなりしたたかなことを言う。

私が固まってることに満足したらしい。
ね?驚いたでしょ?って感じで、
モリタさんは、ニコリと笑った。

「まあ、なるようにしかならないんですけどねぇ~。えへへ。」

何て無邪気な人なんだろう…。
ある意味羨ましくなった。
ちょっと呆れもしたけど。
でも、これからも仲良くしていかないといけない。
いや、すぐにクビになるらしいから、どうでもいいのか…。

ああ、すぐにいなくなるから、
こんな話をしてくるんだよな。

私はあはは…と力無く笑った。






続きはまた明日

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最終更新日  2009年07月23日 20時59分00秒
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