りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年08月01日
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カテゴリ: ある女の話:ユナ
今日の日記



<ユナ27>



お茶の時間も和やかなムードになり、
みんな軽口をたたくようになった。

「フジサワさんは乳癌検診受けたことある~?」

さっきから何か考え込んでいた二児のママさんが、
私に話をふってくる。

「う~ん、まだですね。」

「私今度受けるんだけどさ、
何となく固いのがココにあるのが気になるんだよね。」

「それって心配ですよね。早く受けた方がいいですよね。」

「子供の頃からあるんだけどさ、実はそんなの受けるの初めて~。
大丈夫だよね?」

私たちの会話に、もうおじいちゃんと呼んでもいい位の白髪頭のゲンさんが言う。

「ダンナさんにね、もんでもらえばいいんだよ。
そしたらわかるから、しこりとか。」

「もう~ゲンさんは!セクハラですか!」

エロ予備校長を思い出してしまい、
そっちの方面に行かないように、ムキになって私が言う。

「いやいや、真面目に言っているんだよ。」

ココ、ココ、ココがマズイんだってね。
ゲンさんは本気で手を振って、身振りを加えて答える。

「そんなに簡単にわかるものなんですか?
その辺なら大丈夫かな…」

平然とママさんも答える。

「でも、早く受けるといいよ~。」

「私もカミサンが心配だからってね、いつもチェックするように言われるんだよ。」

「素人でもわかるようだとちょっとマズいよね~。」

みんなが話しに加わると、何だか老人の病院待合室のようだ。
ここでは男女が無いらしい。
私もその一員なんだな…。
そんなことを思う。
そんな歳なんだ、もう。

でも、いやらしさが無くていいか。
私も変に構えるのをやめよ~と思った時、

「あ~、もーダメだ!やめて下さい~!」

青山くん、通称アオくんが真っ赤になって言い出した。
この頃には陰でアオイロ王子とかって呼ばれていた。

みんなが一瞬キョトンとして、
それから爆笑し始めた。

「ああ、ゴメンゴメン。
たいした話じゃないと思って~。」

「ダメだよ、アオくんには刺激が強すぎるよ。」

「オジチャンもオバチャンも無神経だったね~。」

それぞれが、アオくんにゴメンネ~と言って、
さあさ、仕事仕事。
と、持ち場に戻っていく。

アオくんは恥ずかしそうだった。

かわいいなぁ~と思った。
あ、もうこんなこと思うなんて、
私もオバサンなんだな~って思った。


今日も荷物が重いな~って思いながら、
私が運搬車にダンボールを乗せようとすると、アオくんが声をかけてきた。

「フジサワさん、持ちますよ~。」

「ありがとう~!」

助かったと思った。
同時にラッキーって思った。
アオくんと話ができるなんて嬉しい!
自然と声がハズんで高くなってしまう。

「今日はアオくんといっしょか~。良かった。」

「え?何で僕だといいんですか?」

「安心するのよね~。和むと言うか…。
実は私のタイプなの。
あ~、もっと私が若ければなぁ。」

あはは、ちょっと言い過ぎかな?
かなり年下だからってナメてる?
デビルモリタが拍手してくれそうだ。

「アオくんはいつまでなの?この仕事。」

「僕は20日までですね。」

「そうなんだ?私も同じよ。」

荷物を降ろしながら、話ができるのが嬉しい。
今日はいい日かも。

「ねえ、アオくんって、芸能人に似てるって言われない?」
俳優君の名前を私が言った。

「う~ん、知らないですね。
僕あんまりドラマとかって見ないんですよ。」

私達オバちゃんに人気の笑顔で答える。

アオくんは普段何してるんだろ?
何か聞いてみようかな~と考えてると、
アオくんから話をふってきた。

「フジサワさんは結婚してるんですよね?」

そっちの話になるか。
私のテンションが落ちる。

どの人も私が結婚して6年にもなるのに、
どうして子供がいないかとか、いろいろ聞いてくるから、
アオくんまで聞くんだ…
ってちょっと思った。

「うん、そうなの。6年になるかな。」

「きっかけは何ですか?」

あ、コレもお決まりの質問。

「ええとね~、同級生だったの。
同窓会がきっかけで付き合うようになって、
結婚したら、子供すぐにできるかな~っと思ったんだけど、
できなかったんだよね~。」

私は咄嗟にデビルモリタとダンナさんとの馴れ初めを話す。
もう会社が同じだったとか言って、
どこの会社か聞かれるのはウンザリ。
子供の話もとっととしておく。

最近の私は、自分の話をするにはこう言うことに決めている。

以前は、会社の製品安く買えるの?
タダでもらえる?
とかって、ずうずうしいことまで言われた。
親しくもないのに、断るのがめんどい。

アオくんがそんなこと言うことも無さそうだけど、
これが誰に聞かれても、一番適当な返事でいい。

「何か、ダンナ、子供欲しくないみたい。
できたとしても、すぐに子供預けて働いて欲しいとか、
母親に仕送りしたいとか、引き取りたいとかって話をするんだよね。」

いつもの返答にやけっぱちになって、
私はつい構えずに本音をしゃべってしまった。

でも、そんな話をしてしまったせいか、
アオくんがちょっと黙り込んでしまった。

「あ…ごめんね。
何か暗い~!ふふ!」

いけない、いけない。
この子はまだ前途ある若者なんだから。
なんだって、つい感情をぶつけるようなこと言っちゃったんだろ…。
つい落ち込みそうになる。

「そんなことないですよ。
その…。もしかしたら、自分の子供ならカワイイと思うかもしれないし、
そしたらまた、考えとかも変わってくるかもしれないし…。」

本気で心配してるらしい。
私は嘘をついたことで胸が痛んだ。

こんな慰め方まで、あの俳優君と似てるじゃない?

「やだなぁ、アオくんのが大人みたい!
アオくんは子供好きなの?」

「カワイイと思いますけどね…。」

「じゃあ、早く結婚したいんじゃないの?彼女いるの?」

「いや…それがいないんですよ~。
でも、結婚は、そんなにしたくないんです。」

ドキンとした。
この子は結婚の嫌な部分を知ってるのかな?

「え?なんで?」

「何か…気を使いそうで。
女の子と毎日いっしょに暮らすのとかって…。」

へぇ~、そういうことか。
私はつい笑ってしまった。
きっと、この子はいろんなことに気を使ってるんだ。

「そうなんだ?好きな人なら楽しいと思うけどね!」

前途ある若者に暗い話をしてもいけないな。
何か前向きに、彼女が欲しくなるような話は無いかと思っていると、
アオくんは、サークルの新人歓迎会の話をしだした。

アオくんが女の子に声をかけたけど、
白けたムードにしかならなくて、一体どうしたら…?
男ばかりでため息をつきました。
…って話だった。

おっかしい!
私は悪いけどゲラゲラ笑った。
そう言えば、
私も合コンの時は、どうしていいかわからなかったっけ。
男の人たちが、盛り上げようとガンバってたよなぁ。

あの時奔放に生きていれば、
今はもっと違ったかもしれない…。

頭の片隅にヨシカワと過ごした時間が浮かんだ。

「ねえ、アオくんとどっか行ったら楽しそうだね~。」

半分冗談で、半分本気な言葉を口にした。

「このバイト終わったら、どこか行ってみない?」









続きは帰ってからでヨロシクです☆

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最終更新日  2009年08月01日 21時19分58秒
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