りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年08月07日
XML
カテゴリ: ある女の話:ユナ
今日の日記



<ユナ30>



でも、何だか自分の中の何かが無くなっちゃったみたいな気がした。
ここにいる私は、一体何がしたくて生きてるんだろう?

夫意外の男を好きになり、
その人を諦めて、
結婚生活を続けるために、
その男を忘れるために、
他の男と寝てしまいました。
…とさ。

ため息。

バカ女。

忘れよう。
もう終わったことだから。

仕事は探したけどなかなか無くて、
そんな時に、この前の仕事場で知り合ったママさんから電話が来た。

「仕事みつかった~?」

「まだなんですよ~。」

「私も。で、ねえ、もし良かったらなんだけど、
ちょっと息抜きしたくない?
飲み会しない?
この前のバイトママメンバーで。」

「え?ホント?!いいですねー!行きたい!」

「やったぁ~!
じゃあ、ダンナに子供預けちゃう!
オシャレしちゃおっかな~。
ドコに行こうかね~。」

電話を切るとウキウキした気分になった。
みんなほぼ歳が近いママさんばかりだった。
サトシに言ったら、
その日は出張だと言う。
聞かなかったら直前に言うつもりだったんだろうか?
わかってたなら言ってくれればいいのに。

まあいいや。
私もこれで心おきなく出かけられる。
ラッキー!

最低最悪な結婚生活をおくってるんじゃないか?
と思った。
ひどい奥さん。

こんなふうになると思わなかった。
子供が自然にできたりして、
サトシも家にいて、
賑やかで楽しい家を作ってくつもりだった。
サザエさんちみたいな。
何でこんなことになっちゃったんだろ。

でも、サトシは満足そうに見えた。
自分の時間を持てて、
休みの日にはゴロゴロしたりゲームしたり、
時々会社の人に誘われてどこかに行ったり。


飲み会の夜は、
ちょっとオシャレをして、メイクもバッチリしてみた。
派手になりすぎない程度に。
バイトのお金で、ついワンピースも買ってみた。

待ち合わせ場所に着いたら、
みんなもウップンがたまってたんだろうか?
まるで独身のキレイな女になっていた。

やーん、キレイじゃ~ん!
これカワイイ~♪
子供いないからオメカシしちゃった~♪
飲みなんて、何年ぶりだろ~!

女4人で褒めあう。

ママさんが下調べしてきた、
オシャレっぽい飲み屋さんに入る。
ちょっと店内が暗くて、洒落た雰囲気の。

私はヨシカワの店を思い出した。
また思い出してる自分が滑稽に思えた。
もういっそ、離婚しちゃえばいいんじゃない?
でも、それじゃあヨシカワのためにするみたいじゃない?
それはちょっと違う気がした。
私とヨシカワはそこまでの仲なんだろうか?

私がカクテルを頼むと、
詳しいの~?
って、みんなが感心してくれた。

飲み始めると、みんな家庭のぶっちゃけ話を始める。

「うちさ~、もう一人欲しいんだけどさ~、
ダンナともうしたくないんだよね。」

「あ~、わかるわかる。
排卵日だけしかしたくないよね。」

「何それ~!子作りマシーンみたいじゃ~ん!」

「いいのよ、だって私のこと、お料理マシーンとか、
洗濯マシーンだと思ってるんだからさ~。」

「ひどいわ~。そこに愛は無いのぉ~?」

「あるけど、男と女じゃないわね。」

「じゃあ、何?」

「情かなぁ~。」

「ひゃ~!愛はどこへ~!」

みんな言いたい放題でゲラゲラ笑った。

「うち、実はさぁ~、旦那が浮気してんの。」

「え?嘘!ホント?!」

「ホント~。会社の部下だって~。
嫌がらせの電話がかかってくるの。」

「わぁ~!ドラマみたいじゃんね~。」

「離婚は?」

「しない。別れてやんない!悔しいし。
子供が可哀想だし。」

「まだ愛があるのね…。」

「愛なのかどうかわかんない。」

だんだん、深い話になっていく。
どこの家も何かしら問題はあるみたい。
私も自分に起こった話しようかな…。

一瞬そう思ったけど、
引かれること間違い無しなのでやめた。
それに上手く説明できそうもない。

正直、一度離れた心を戻せるなら、
その方法を教えてもらいたいものだと思っていた。

みんな、そのダンナさんをどうしたら自分の元へ戻せるか、
真剣に話し合った。
もしも、この奥さんくらい熱心に取り戻そうとしてたら、
旦那さんが引いちゃうんじゃないかな…
それとも、反省して戻ってくるかな…
なんて、ぼんやり思った。

何にしても、この夫婦はまだきっと情熱が残ってそうだ。
私の家は何なのだろう?

終わり頃には飲まずにお茶に切り替えた。
あまり酔って帰ると家の人が心配するからだろう。
みんなまた飲みに来たいから、
ハメをはずしすぎないようセーブしてるらしい。

終電間近になると、お開きにすることにした。
みんなホントはもっと飲んでいたいんだろうけど、
子供やダンナさんが待ってる。
待ってないのは私だけだった。

いつかは、うちも子供ができるのかな…。

でも、サトシから欲しいような話は聞かない。
私も子供なんて欲しくないと思った。

今のサトシが全く自由な状況から考えても、
私だけで子供のめんどうを見ることになりそう。
それが楽しそうなことに思えなかった。

電車を降りると、夜なのにまだムッとした熱気が強い。
コンビニに入ると涼しくて爽快だった。
明日の朝食べるパンと、缶のお酒を買った。
飲み直して寝ちゃおう。

「フジサワさん…」
コンビニを出たところで男の声が聞こえた。
声の方を向くと、
アオくんが立っていた。

どうして?!
何でここにいるの?

私は咄嗟に家の方に走り出した。
あの出来事の時には、自分の駅の手前で、車から降ろしてもらっていた。
まさか、私の跡を尾けてたとか?

そう思って、とにかく逃げる。
ふり返ると、アオくんが追ってくる気配は無い。

止まって、落ち着いて考える。

さっき、アオくんは、驚いた顔をしていた。
だから、多分会ったのは偶然ってことなのかもしれない。
アオくんもまさかこの駅とか?

それは無いはず。
もう少し先の駅だって聞いた覚えがあった。

帰ろうかと思ったけど、気になった。
私が弄んでしまった男の子ってことになるのかもしれない。
さっきの態度だと、かなり傷ついたかもしれない。

私は迷って、
まだいるかどうかわからないけど、
駅前のコンビニに戻ることにした。

ちょうどアオくんがコンビニから出てきて、
タクシー乗り場の方に向かおうとしているところだった。

「アオくん…」

声をかけたら、アオくんが振り向いた。
驚いていて、目を見開くと、
じっと私を悲しそうに見ていた。

「ゴメンね…。逃げたりして。」

アオくんは、いきなり私を抱き締めた。

「フジサワさん…ひどいよ…。」

強い力だった。
何でこんなこと私にするんだろ?
よっぽど傷つけちゃったんじゃないかと思った。
逃れられないと思って力を抜いたら、
アオくんの力も抜けた。
その瞬間に体を離した。

「どうしてこの駅にいるの?」

「電車で寝ちゃって、間違えて降りちゃって…」

アオくんが懸命に状況を説明する。

「そっか、そうだよね…。」

私ってば、自意識過剰かもしれない。

「良かったら送ってあげようか?」

酔いも覚めてるし、大丈夫だろうと思った。
どうせ帰っても誰もいない。
ちょっと位、ドライブして帰ろう。

そう思った。

頷いて、アオくんも付いてくる。
駐車場に着いて、車に乗ると、
アオくんもためらいながらも中に入った。

「えっと、どこに向かえばいい?」

「旦那さんは、大丈夫なんですか?」

「出張。」

サトシのことを聞かれると、
何でもサトシに許しをもらわないと行動しちゃいけないみたいで、
少しハラが立ってくる。

私がイラついたのが伝わったのか、
おびえさせちゃったのか、アオくんは下を向いて、黙ったままだった。
感情をぶつけて、悪いことをしてしまった。

「アオくん…?」

「どうして、バイト終わったって言ってくれなかったんですか?」

アオくんはこっちを向かない。
怒ってるのかもしれない。
私が抱かれてから、何も言わずに逃げたことに。

「ごめんね、アオくん…。
ホントにごめんね…。」

それでもアオくんはこっちを向かずにうつむいていた。
参ったな。

「ねえ、怒ってるの?こっち向いてよ。」

返事もしてくれない。
どうしたらいいんだろ。
私は途方に暮れた。
このままじゃ、家におくることもできない。

「アオくん…」

アオくんの肩に手を置くと、
ようやく顔をあげてくれた。
あ、良かった。

と、同時に、睨んで、いきなり強く抱き締めてきた。

何?
何でこんなことするの?

頭が混乱してると、今度はいきなりキスをしてきた。
怒ってる。
本気で怒ってると思った。
手に込められた力とキスの強さでわかる。
何をされるかわからない感情のイラ立ちを感じた。

「ホテル」

「え?」

「ホテルに行きたい。どこに向かうか聞いたじゃないですか。」

バイトしてる時の真面目なアオくんからは考えられない言葉だった。
この子、そんな子だったっけ?

「アオくんらしくないよ、何でそんなこと言うの…。」

「言わせてるの、そっちじゃないか!」

アオくんの怒鳴り声なんて、想像もしなかった。
すごく怒ってるんだと思った。

「それで気が済むの?」

「うん…。」

寝れば気が済むって言うの?
何だかんだ言って、体が目的なんだ?
簡単にできると思ったんだろうな。

最悪な私に、最悪な付き合い。
いいかもしれない。

もう、流されてみようか。
この子の気が済むように。

そう思った。

「わかった。」

私は車のエンジンをかける。









続きはまた明日

前の話を読む

目次






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年08月07日 20時02分29秒
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

りらっくままハッシー!^o^

りらっくままハッシー!^o^

カレンダー

コメント新着

りらっくままハッシー!^o^ @ Re[2]:アカデミー賞授賞式(03/11) ゆうけんのままさんへ 一年ぶりになってし…

バックナンバー

2025年11月

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: