りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年11月08日
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今日の日記




「ある女の話:カリナ6(友達のきっかけ)」



あんたいつもノリ弁~!」

いっしょにご飯を食べてるグループの一人が、
わざわざ私の机までやってきて、
からかうようなイジワルな口調で言った。
みんなに聞こえるようにワザと。

高校生にもなって、
まだこんなこと言う人がいるんだ?

私はある意味感動してしまう。
イジワルですってアピールしてるようなものだけど、
嫌われると、こうなるってことでも誇示したいのかな?

でもこういうこと言う方がまだ無視されるより、
イジワルって形のコミュニケーションだったり?
どっちがいいんだろ?

スギタはもう自分が何もしなくても、
他の子たちが調子にのって私をからかうのをしらんぷりしてる。
中学の時は、仲が良かった時期もあったのにね。

美味しいんだけどな。ノリ弁…

「ねえ、あんたノリ弁が好きなの~?」

バカにするようにその子が更に言った。

「うん。美味しいよ。
ノリ弁美味しくない?」

私はそう返事をした。
何でも無い会話みたいに。

その子は私が泣くとでも思ってたのかもしれない。
或いは、怒って返事もしないだろうと。
返事が返ってきたことに驚いた顔をしてた。

「ふぅ~ん。
まあ、そうかもしんないけどねぇ。」

そうして、つまんないって感じで自分の席に戻って、
お弁当を隣の子と楽しそうにしゃべりながら食べ始めた。

教室の空気が元に戻って、
私はいつものように黙々とご飯を食べた。
で、食べ終わったら片付けて、
席をもとに戻す。

グループの女の子たちは、おしゃべりに夢中で、
特に私のことなんて気にしない。

手を洗いに行って、
そのまま体育館へ行った。

これももう最近のお決まりコース。

体育館に行くと誰もいなくて、
私はボールを一つ出す。

で、何となくグランドを見たら、
まだ先生も走ってなかったし、
マッシーって子も来てなかった。

3ポイントの位置から投げてシュートを入れる。

入った。

入らない。

取りにいく。


ノリ弁は…

お母さんが私と妹と弟のために早起きして作ってくれてる。
仕事をしていて忙しいのに、
作ってくれてる。

私はお母さんのお弁当は美味しいと思う。
手は、こんでないかもしれないけど、
私の好きなものを必ず入れてくれてて、
味が沁みてて、
美味しい。

時々、友達の彩りがキレイだったり、
まるで宝石箱みたいなお弁当がステキだな…って思うこともあるけど、
私が食べたいのは、お母さんのお弁当だ。

私のために作ってくれたお弁当だ。

妹は時々素直に、もっとカワイイの作って!とかっておねだりするけど、
弟は量さえ入ってれば、そんなの逆に恥ずかしいからって嫌がる。

そんなに料理にも興味なかったし、
今までは部活に出ていて作ってもらうことも当然みたいに思ってた。
部活の友達も、特にそんなチェックを入れたりしなかった。

すごく毎日忙しいって思ってた。
お母さんよりもずっとずっと。
学校があって、部活があって、勉強もしなくちゃいけなくて。

でも、今はそんなことも無いから、
やってもいいかもしれないな。

けど、お母さんは、何で部活辞めちゃったのか、ただでさえ心配してて、
帰ってから何か習う?とかってうるさい。

この前チラッと言ってみた。
お弁当自分で作ろうかな…って。

私が学校でこんなことされてるって知ったら、
どんなに嫌な気持ちになるだろう。
ますます心配するだろうし、
もしかして悲しむかもしれない。

そう思ったら理由は言えなかったけど…。
いろいろ料理できるようになりたいし、って、
適当に言ってみた。

そしたら3人分作れるの?って。

私が3人分作れればいいのかもしれないけど、
お母さんは、後片付けする方がかえってめんどくさい。とかって言って、
台所を譲ってくれそうもなかった。

いずれ結婚したら嫌でも作るようになるんだから。
そう言って…

早く家から追い出したいのかもしれない。
うち、何だか狭いもんね。

あ~あ。

シュートがスポンと入った。

ぱちぱちぱち。

拍手された音で振り返る。

マッシーがグランドが見える入口で手を叩いていた。
笑顔だったのに、
私の振り返った顔を見て、表情が曇った。

「…どうしたの?!」

しまったと思った。
私は泣いていた。

それは誰が見てもわかるような泣いた後の顔だったのかもしれない。

「え?何が?」

私は笑顔を作って言ってみた。

マッシーは何て言っていいのかわからないような、
言葉を探しているような感じだった。

それで私は慌てて言う。

「先生、走ってるの?」

マッシーは何か察したのかもしれない。
ちょっと心配そうな顔を残しながらも、
私に合わせて笑顔を作って言った。

「走ってますよ~、今日も!」

「私が来た時はまだだったのにな~。」

「先生は50分にならないと来ないんですよ。
で、10分走って戻ります。」

「なるほどね。」

私は気まずくて、自分から会話を探した。

「マッシーもその10分だけここに来てるの?」

「そうですね~。コソッとね。コソッと!」

マッシーが照れを隠すように笑いながら言った。

「ミゾグチさん、今日もまっすぐ帰りますか?」

「うん?そのつもりですよ~。」

私はマッシーの口調が移って言った。

「今日ね、陸上部が部活無いから、先生放課後走るんですよ。
私、コソコソ眺めようかと思うんですけど…」

マッシーは言いにくそうに声のトーンを下げながら言った。

あ、今日は帰りは別だってこと暗に言ってるんだな…。

そう思って、
私はちょっとガックリしたけど、
昨日知り合ったばかりなのに、
いっしょに帰るつもりになっていた自分が何だかおかしかった。

「あの、もし良かったらなんですけど、
付き合ってもらっていいですか?
一人でコソコソ見てるのが片想いの醍醐味かとも思うんですけど、
いっしょにいていただけるとありがたいです!」

ブッと私は吹いた。

「何それ~?私は隠れミノか何かなの?」

「察しが早いですね!
まあ…早い話がそうなってしまいます。
でも、ミゾグチさんといっしょに先生の話をしてると楽しいです。
だから今日もいっしょに帰れたら嬉しいと思って…」

私はクックと笑っていたけど、
その提案がとても嬉しかった。

とても、
とても、
嬉しかった。

「いいよ~。
私もマッシーと話してると楽しいもん。
それに先生が走ってるの二人で眺めてる方が、
先生を見てるように見られなくて自然かもね。」

マッシーがホッとしたように、嬉しそうな笑顔を作った。

その笑顔が無性に嬉しかった。

「ありがとうございます!」

「でも私、眺めるなら体育館の側じゃない方が嬉しいんだけど…
ほら、バスケ部辞めちゃったから。」

「モチロンですよ!」

マッシーは目を輝かせた。



あの日からだよね。

マッシーと私の特等席ができたのは。

もうあの場所に帰ることは無いんだね。

私達、あの場所に似合わないみかけになってしまった。

制服が似合わないようになってしまった。


だからなのかな。

ものすごく今あの場所が懐かしいんだよ。

ねえ、マッシーもそう思わない?

もう私達の場所じゃない、あの場所。

今は私の心の中にしか無い場所。


マッシーの心の中にも、

まだ残ってるかな…?




前の話を読む

続きはまた明日

目次







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最終更新日  2009年11月08日 18時37分30秒
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