I'll Sleep When I'm Dead!

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アメリカのWal Mart化


アメリカのWal Mart化

今日から始まった大学の公開講座、「アメリカの虚像と実像」の第1回目を聴講してきました。アメリカほど、その虚像と実像の間のギャップが大きい国は他にないということで始まったこの講座ですが、第一回目の今日は「アメリカのウォールマート化」(Wal Martだとウォル・マートと表記しそうな気がしますが、正しい表記法は伸ばすんだそうです。)ということで、アメリカは言うまでもなく、ヨーロッパやアジアにもチェーン展開するWal Martの実態と、それが及ぼす問題点について聞いてきました。

Wal Martは、売上高で世界第一位の座を占める小売業の巨人です。1962年にアーカンソー州の農村地区で生まれたスーパー、Wal Martは、急速なチェーン展開により、ここ数年で、Forbesなどの経済誌でMost admired companyの一位を連続して獲得するほどの大企業になり、また総従業員数でもトップを誇る企業になりました。長者番付では一位のビル・ゲイツの少し下、第四位に設立者のWalton一家が5人ほど名を連ねています。消費者にはものを安く提供し、急成長を遂げていながらも、そんなWal Martをとりまくのは様々な問題点。単なる大手スーパーマーケットが、アメリカ全体の経済や国民の生活に影響を及ぼしているというから驚きです。

◆世界中で140万人を雇用する同社は、世界中の賃金や労働条件にも大きな影響を及ぼすとのこと。同社の強烈なコスト削減のため、多くの納入業者が生産を海外に移さなくてはならず、組合が認められないため、Wal Martの労働コストは他の同業者よりも20%も少なく、2001年の販売担当従業員の平均賃金は、連邦政府の定める貧困基準を下回っている。(1時間あたり$5.15)

◆Wal Mart社の購買力や効率のよさは、同社が出店した地域のスーパーを閉店に追い込んだ。

◆価格引下げのため、納入業者の生産にまで立ち入り、使用する材料や価格決定まで介入する。製造業者にとってサイアクなのは、同社と契約を結ばないこと、その次にまずいのは同社と契約することだとも言われている。

◆時給労働者の離職率が44%にのぼる。

◆従業員の医療保険の負担額が増大する一方で、会社側が医療保険の負担を切捨てていて、そのことが原因で従業員のストライキにまで至った。

◆価格低下により、消費者には大きな利益をもたらす一方で、その低価格を維持するために海外からの製品輸入の増大を引き起こし、その結果国内製造業が中国などの海外に移転が促進している。

◆顧客の保護を名目に、ポルノ雑誌などにはカバーをかけたり、店頭から撤去される。Wal Mart独自の検閲により、Wal Martで扱う商品が限られる場合もある。(設立者が敬虔なキリスト教信者で、有害なものは売らない方針―その一方で店には安く買える銃を置いている。)

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最後の検閲の件は別として、極端な利潤追求がWal Martをここまで大きくしてきたということで、他の企業が同様に利益のみを追求する姿勢を持ち始めているとか。その場合、米国全体が医療保険の切捨てや賃金低下などを招く恐れがある―それが「アメリカのウォールマート化」ということなんだそうです。

アメリカ社会や経済のことに関してはあまり詳しくないので、講義で聞いてきたことを羅列しただけですが、面白いなぁ、と思ったことを2点ほど。

1.独自の検閲システム

たとえば、CDなどをWal Martに置いてもらう場合、歌詞に不適切な表現がないかどうかチェックされる。不適切な表現があった場合、歌詞を変えてレコーディングし、店に置いてもらう。これって、作った側にしてみれば自分の作品に不具合があるということで、プライドが高い人ならば拒否しそうなものだけど、置いてもらえないと売れないので、CDの売上を伸ばすためには歌詞を変えてでも置いてもらうことが必要になるのだとか。

じゃあ、うちのBon Joviは?と理功に聞いたら、「大体検閲が入るのはラップミュージックで、Wal Martから見たらBon JoviなんてChoir boys(聖歌隊)だよ。」ですって・・・(笑) ハレル~ヤ~♪

2.リーバイス・ジーンズ

リーバイスと言えば、アメリカ文化を象徴すると言っても過言ではないと言われているんだけど、当初リーバイスはWal Martへの製品納入をかたくなに拒み続けていた。だけど、早くから海外生産に特化してきたラルフ・ローレンやギャップなどの企業との競争に次第に負け始め、工場も閉鎖せざるを得なくなった。そこで、「リーバイ・ストラウス・シグネチャー」というブランドを立ち上げて、アジアで生産されたジーンズ類をWal Martで販売するというのだ。それで何が起きるかというと、「Made in USA」というタグのついたリーバイス製品は市場から消えるということ。そのうち高値がついたりして~!

でも実際にWal Martを利用している(朝ごはんのドーナツを買いに行く)ビジネスマン、理功に聞くと、従業員の給料は長く勤めて責任のある立場を任されたら多くなるので一概に賃金が低いとは言えないとのことでした。検閲自体も実際にはあまりされていないとも言ってました。Wal Mart自体が自分たちの生活にそれほど大きな影響を及ぼすとは現実的に考えられないけれど、昔ながらの小売店が次々と姿を消すのは寂しいとのことでした。日本でもそれは言えるわねー。子供の頃母の買い物についていったら市場で色んなお店の人に声をかけられて、負けてもらったり飴をもらったりしたっけ。そういうノスタルジックな雰囲気が消えてしまうのは寂しいですね。

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◆講義の感想

O先生は、私が大学生の時にも講義を取っていたのですが、相変わらずの資料の多さに笑ってしまいました。聴講しているのはほとんどが60~70歳以上の高齢者。私一人浮いてました~。なのにNew York Timesの記事をやたら配ってくれたり、英語雑誌をOHPで見せてくれたり・・・(笑)。じいちゃんたち、読めないっちゅうの(笑)。まあ、その資料のおかげでこうして日記に書くことができたのでありがたく思います(^^;

ちなみに今日の日記はNew York Timesの社説からの引用ですが、元記事は ココ です。もう有料になってしまったのでタダで全部読めないのが残念ですが、雰囲気だけでもどうぞ~。





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