I'll Sleep When I'm Dead!

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2005.01.17
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カテゴリ: ダイアリー


10年前の午前5時46分。

寝ていたところへドーン!と突き上げるような揺れを感じた。その前の年まで東京に住んでいた私は、震度4ぐらいの地震には慣れっこになっていたため、「どうせすぐに止まる。」と、そのまま寝ていた。

が、なかなか止まらない揺れ、段々と大きくなっていく揺れに不安を感じ始めた。

隣の部屋で寝ていた母が私の名前を呼んだ。私はネコの名前を呼んだ。(このことは母からいまだに根に持たれている(笑))

電気も全部ストップして、真っ暗闇の中、手探りでネコを探し、逃げる用意を始めたのだけど、段々と夜が明けて周りのものが見えるようになって驚いた。寝ていた部屋の壁がはがれている!

たんすがひっくり返っている!(この日私はコタツで寝ていたため(笑)、落ちてきたたんすの下敷きにならずに済んだのでした)

台所がメチャクチャ!

「あちゃー、こりゃ仕事行かれへんわ。」

と、院長宅に電話。

私:「あの、すいません。今の地震で家が壊れたみたいなので、今日は一日お休みさせていただきたいんですけど~。」

院長:「大丈夫か?怪我はないか?」

私:「へ?いえ、ありません。大丈夫です。とりあえず家が壊れたんで~…」

段々と近所が騒がしくなってきて、外を見たらみんなが不安そうな顔をして外に出ている。一緒にとにかく逃げなあかんかなぁ~と思っていたら、母が台所を片付け始めた。

「あらま~、このカップ気に入ってたのに~。」(暢気すぎる?)

そして、二人が二人とも、それまでずっと便秘していたのに急に催してきたため、順番にトイレに行った。

母「ありゃー、トイレのタンクが落ちて水が出ないわー!」

私「お風呂の残り湯があるはずやから後でそれで流そう!」

二人続けてトイレで用を足した後、お風呂の残り湯を汲みにお風呂場の扉を開けて腰を抜かしそうになった。

お風呂が 露天風呂 になってる!

そう、我が家のダメージはお風呂~台所を中心に、ひどいことになっていたのです。(全壊でした)

もちろん湯船は落ちてたし、しかもお風呂があったところの通し柱が土台から外れている!

その後、とりあえず外に出てみたら、みんなそれぞれ動揺していたみたいで、近所のオバチャンは買い物カゴに目いっぱいタバコのカートンを詰めていた。そして1本目に火をつけたときに、裏手のほうから、

「おーい、ガスが漏れてるぞ!」という男性の声がした。

オバチャン、

「ガスが漏れてるねんて~。」といいつつ、火のついたタバコをくわえたまま。

そうこうしているうちに、雪が降ってきた。え?雪?でも黒いよ!

そう、それは少し離れた場所で震災による大火事があって、そこから飛んで来た黒い灰だったのです。

その後、私たちは母の昔の職場にしばらく非難し、その後は私の職場の更衣室で数ヶ月を過ごしました。だから本当は院長には頭が上がらないのでした(^^;

それはさておき、水が流せなかったトイレはその後どうなったか?

近くに井戸があって、そこからバケツで水を汲んできて流したまでは良かったのですが、流した直後に裏手から、

「おーい、下水管が破裂してるぞー!」

との声。ド ヒャ~(^^;

次の日、「こりゃ仕事行ってる場合ちゃうよな~。」と思い、また院長に電話。あれだけ電話がつながらないといってましたが、なぜかうちと院長宅はつながったんですねー。どうも時間的なものが大きく影響したようです。

ところが、

院長「けが人がどんどん来てるねん。今日から仕事してくれー!」

私「え~っ、でも電車動いてません。」

院長「何とかして来てくれー!」

私「じゃあタクシーで行きます。」(すっかりオトボケ)

***********

1時間後、

私「先生、タクシーが一台もありません。」

院長「歩いて来い!(- -メ)」

そ、そんな…ご無体な…。

でも歩いてみて被害の状況が段々とひどくなっていくのを目の当たりにして本当に怖くなった。電気もガスも水道もストップしていたから、テレビでどんなニュースが流れているのか、死者数なんかもわからず、ただただ現実を受け入れるのみだった。

もしココでまた大きな余震が来たら…と思ったら本当に怖くなったのと同時に、きれいなパンツをはいておかなくちゃ…とも思った。

受付嬢Aさんと、「明日は食べるものがないかもしれない!」と言っては、目の前にあるものをたらふく食べていて、二人で震災後に太っていた。

お風呂屋さんの前で行列に並んでいたら、今の長野県知事の田中さんが来て靴下をくれた。他の芸能人がボランティア活動をする姿をテレビで映し出されているのとは対照的に、助手の人と二人、バイクでさりげなくやってきて、配り終えたら何も言わず、月光仮面のように去っていった。

震災で、色々な援助物資をもらったけれど、田中さんにもらった靴下が一番ありがたかったかな。

今津波の被害の記事を読んでいますが、本当に被災者が必要としているものがちゃんと届けられているんだろうか、と疑問に思います。

阪神大震災でも、食べ物は文字通り腐るほどあって、結局廃棄処分になったりもしたし、冷たいコンビニ弁当ばっかりはイヤだ、と文句を言うと「けしからん!」と怒られそうですが、でも老人にあれはやはり辛い。

救援物資で一番ありがたかったもの、それは何だろう?ニーズって人それぞれだから一概には言えないのかも知れないなぁ。オムツが必要だと思う人もいれば、生理用品が必要だと思う人、カイロとか、もちろん食べるものもそうだろう。でも実体験として私が思ったのは、モノよりもハード面かな、やっぱり。トイレとかお風呂とか。

病院のほうには、衛生材料のほか、下着なんかも物資として配られたんだけど、パンツにカレーがついていた男の患者さんがいて、見るに見かねて他の人よりも少し大目にパンツを配ってあげたら、その後「アンタ、見合いせえへんか?ええ人がおるんやけど。」と声をかけられた(^^;

その後、新聞で多くの人が亡くなっていることや、その中には2,3日前まで元気に通院してきてた患者さんの名前もあったりして、段々とショックが大きくなっていったのを今でも覚えている。

近所の家から遺体が運び出されてきたのを見たときは本当にショックで声が出なかった。

うちは家が全壊しただけでけが人も死人も出なかったから、こういう風に笑い話になっているけれど、家族を亡くした人の心の傷はまだ癒えずにいるらしい。

亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。

まだ書き足りないことがあるけれど、収拾がつかないのでこれにて。





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最終更新日  2005.01.17 21:51:47
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