貨物船上で親知らずが・・・・。


左の奥歯がはれてきた。
その時の航海誌にこう書いた。
「神さま、この歯を何とかしてください!」
無神論者のボクが真剣に祈った初めての祈りだった。
それほど痛くなってきた。
もちろん貨物船に歯医者はいない。

親のもとを離れた!という実感をした途端に
親知らずかはれ出した。
これこそ親知らず、だと冗談を言ってまぎらわしても
その痛さはどうにもならない。

それがニュージーランドに着くや否や治ってしまった。
だが3ヶ月目に治らない痛さがやってきた。
歯医者にかけこんだら
すぐにペンチで親知らずのすぐ前の歯を抜かれてしまった。
ゴミ箱にポイと捨てられたので
それもって帰りますからください、というと
変な顔してこちらを見た医者と看護婦、
まったく傷も虫も食ってない歯をそのままゴミ箱など
捨てる方が変じゃないかと、彼らの変なまなざしを
変に思って取り返した。

帰国して日本の歯医者にそのことを話すと
「ひどいことするね」
日本じゃ何とかして親知らずを抜いて
大切な奥歯はおいておくよ、と言う。
数人の歯医者に同じことを話すと
同じ返事が返ってきたのだから
日本の歯医者のすばらしさを日本人はもっと感謝するべきだ。

貨物船は親知らずの痛さを運んでニュージーランドへ。

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